【凡学一生の優しい法律学】小室一家報道による「惨殺」事件~小室文書の優しい解説(後)
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3. 小室文書が訴える真実
(1)男女間の関係の発生と、それにともなう金銭の移動の「法的」性質
佳代氏と元婚約者という赤の他人であった男女が親しくなり、婚約関係となり、それにともなう金銭の移動(相互的なものでなく、男性からの一方向であったため、男性から女性への経済的援助)があり、その後、何らかの事情で、男性からの婚約解消の申し出があり、婚約が解消された。親しい関係も消滅し、後日、突然に男性から過去の支援金は貸金であるからとして返還請求がなされた。女性は専門家に相談し、法的債務は存在しないとの助言を伝え、男性もそれに対抗して、法的専門家を立てて改めて請求するとの交渉会議を1回だけ持った後、再び、関わりがなくなった。
その後、子息の小室圭さんと眞子さまの婚約者との報道がなされたが、その3カ月後に『週刊女性』の記事を先がけとして、佳代氏の「金銭トラブル」報道が現在まで続いている。
これは、小室さんが公表した文書から筆者が要約した概要と経過であり、上記すべての事実に特定の日付が存在するが、真実であるとの男性側の応答は必ずしもない。これは、「過去の支援金は貸金である」こと以外には客観的な証拠に基づく男性側の主張が一切ないことが主な理由である。
しかし、奇妙なことに、男性側の主張を怒涛のように垂れ流す報道機関側にも、「証拠に基づいた客観的主張を行うという発想がまったくみられない。これが悪徳週刊誌の「報道の自由」の実態である。
(2)事件の中核的争点
前回の記事で述べたように、小室佳代氏の婚約開始前後から婚約解消までの期間に元婚約者の男性から佳代氏になされた経済的支援(元婚約者は、経済支援のうち、金銭の交付のみを貸金と主張し、記憶に残る大金の移動の合計額を請求しているとみられる)自体が特定性を欠くため、「貸金」の存在を法的な意味で立証できない。つまり、佳代氏側が貸金と認めれば別であるが、それを否定して納得しなければ、経済的支援は法的には存在しない。これが、現在まで続く「金銭トラブル」の実態である。
この事実関係を考慮する場合、婚約は婚姻を前提とするため、婚約期間では事実上、一方の配偶者による他方への経済支援、つまり実質的な内縁関係と評価される場合と、そこまでに達していない場合が存在する。それは当事者の事情、年齢や性的生活の有無などに左右される。
これらの複雑な要因をすべて客観的に調べ尽くすことはできないため、報道機関は一層、個人のプライバシーの侵害に配慮して報道する義務がある。報道の自由権の制約である。
常識のある人間なら、大金の請求だけに、まず弁護士に相談をして、弁護士が請求を正当と判断したうえで、代理人として請求行為を行う。一方、被・請求者側も、請求に異議があれば、通常はやはり弁護士に相談して請求の当否を判断してもらう。
このような紛争解決手続きが法治国日本に存在することは、いやしくも「国民の知る権利に奉仕する」と標榜し、報道の自由を根拠に週刊誌を発行する記者なら、基礎知識として身に着けていなければならない。少なくとも編集局長には不可欠だ。
この出版報道人としての基礎知識の欠如さえ疑われるのが、佳代氏をめぐる「金銭トラブル」報道である。最初に「金銭トラブル」を報道した週刊誌『女性自身』には、元婚約者から正確に取材した形跡がない。もちろん、報道後の名誉棄損訴訟などを考慮して、取材原を秘匿するテクニックとして、取材源は元婚約者の「友人」の通報という体裁をとっている。
つまり、最初から第三者である友人の「伝聞」として、賠償請求訴訟に備えた報道姿勢をとっていた。この報道が真実なら、元婚約者の「友人」は平気で情報を週刊誌に提供する信頼のおけない人物だったことになる。
この情報源の隠匿作戦こそ、真実の究明を不可能にして言いたい放題の報道を可能する違法の常套手段だ。その後に展開される小室家と元婚約者側の立会人・代理人が弁護士でなく、週刊誌記者であったという信じられないほどに非常識で不条理な交渉も、下世話週刊誌主導の「金銭トラブル」報道の本質である。
4. 小室文書の優しい解説
小室文書は「概要」と「本文」と「脚注」から構成されており、佳代氏と元婚約者間に存在した金銭の移動が法的に「借金」か「贈与金」のいずれであったのかを論証するためには、長すぎる。
それは前述したすべての不条理に無意識に反論せずにいられなかった純粋な青年の心情を反映したためだ。そのため、筆者は小室文書から、相手や眞子さまを配慮した表現などの丁寧さ故の重複・繰り返しなどを削除して、オリジナリティを失わない程度に改編した。当然ながら、解説文の文責は筆者にある。
読者の便宜を考慮して、解説書は別紙1とし、さらに、小室さんの表明文も別紙2として添付した。両者合わせて読めば、小室さんの一貫した誠実さが実感できると考える。
なお、解説版は小室文書の「概要」の部分のみを解説している。これだけで事件の経緯と骨子の理解には、十分に事足りると判断した。読者にはこの解説版ですら長大に感じられるだろうが、それだけ事件の必要な内容が記述されている。
(了)
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