老化は確実に進む(2)判断を狂わす
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13年以上の歴史をもつオンラインゲーム
友人が、信じられないほど大きなビジネスの相談を受けた。カンボジアとフィリピンのカジノで稼いで、それぞれ日本円換算で12兆円、13兆円の資金へのエクスチェンジに挑戦することをと持ちかけられたのだ。資金の持ち主は中華系(主に福建省出身の華僑)。しかし、「カジノがいくら儲かるといってもカンボジアとフィリピンで12兆円ものお金が貯まるのであろうか」という疑問が残った。
友人に再三、質問を投げかけたが、その都度「相手も資金源に対して容易に口を割らない」との返事だった。ところがある日「解明できた。ようやく真相を語ってくれた。資金の大半はオンラインカジノで稼いだものだ」との回答が寄せられた。そうであれば納得できる。オンラインカジノであれば世界中の誰もが勝負できるからだ。とくに中国系は緻密な組織化が進んでいる。胴元から代理人・ブローカー・プレイヤーの役割分担が明確である。それゆえ稼げる額が半端でない。
今やオンラインゲームが花盛り。「ウォレット決済」と連動したオンラインゲームも市場を席巻し始めた。調べてみると、このオンラインカジノゲームの根源はマカオにあり、少なくとも13年の歴史があるようだ。マカオのカジノに通じる業者は「マカオで主流になれなかったグループはオンラインゲームカジノを武器にして海外に出ていった。かなり稼いでいる」と説明する。
そして最近になって、オンラインゲームと「ウォレット決済」を連動したシステムを売り物にした勢力が現れた。「日本の娯楽の主人公であるパチンコ・スロットルを世界へ広める」と銘打っている。パチンコオーナーたちの食いつきは概して非常に良いが、反応はさまざまという。関係者A氏によると「オーナーの年齢によって回答の中身が変わってくる」という。
老いは判断を狂わし、ビジネスチャンスを失わせる
まず、1番目のパチンコ店。A氏が幹部2人に説明したところ、システム開発担当者は目を輝かせていたが、一方、別の幹部の目は淀んでいた。開口一番、「投資額はいくら必要なのか?」との質問が寄せられた。A氏は「翌日には返事があり、今会社には投資する余裕がまったくないので真摯に向き合うことができないのでお断りするというものだった。名門のホールであったが、この5年間で体質を衰弱させているのは事実だ。しかし、それ以上にオーナーのオンラインヘの無理解が、断った最大の要因だろう」と話す。
2番目は福岡でもっとも大きな財を成したとみられているパチンコ店。業績好調を背景に不動産事業などに進出し多角化を進めたが、ことごとく本業の足を引っ張る羽目になっている。A氏がオーナーに説明したところ、「オンラインゲームは我々の商売に敵対する輩である」と取り付く島もなかったという。「パチンコ業は巨艦のホールを構えて商売するもの」という成功体験に凝り固まっているのだろう。老いは判断を狂わすようだ。
3番目はまだ40代の経営者。年齢的に「俺は成功した第一人者である」と酔いしれることはなく、「まだまだこの程度で終わりたくない」という野望に燃えている。それで、前例にこだわらない頭の柔軟さをもっている。A氏の報告によると「こちらの説明を十分に理解していた。先方からもさまざまな質問が投げられてきたのでうれしかった。おそらくビジネスの提案が進んでいくと確信している」と手応えを感じているようだ。
これらを通じて、「老いは老害なのか」という教訓が浮かび上がる。
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