売上急落で大幅赤字に転落 (株)朝日新聞社
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朝日新聞社(大阪市)は5月26日、2021年3月期の決算短信を公表。連結決算では売上高が2,937億円にとどまり営業損益段階から70億円の赤字に転落。繰延税金資産を300億円余り取り崩したこともあり、441億円の最終赤字になった。
「コロナの影響で過去最大の赤字」と各社が報じているが、繰延税金資産の取り崩しは現金流出をともなわない会計上の費用計上であり、現金が目減りするわけではない。長短合わせた借入金が80億円程度に対して現預金は928億円を保有するなど、相変わらずキャッシュリッチだ。固定資産の内訳をみても、赤字の原因となった繰延税金資産が前期比で300億円ほど減少する一方で、投資有価証券は200億円余り増加している。
特筆すべきは最終赤字の金額よりも、売上高の減少スピードだろう。別表の通り、連結売上高が5,000億円から4,000億円まで減少するのに要したのは約8年。それが4,000億円から3,000億円では約4年だ。1,000億円の売上高を失う期間が半分になっている。今回の巨額赤字は財務リストラの側面があるが、売上高の急速な減少は、業績不振のスピードが加速していることの表れだ。負のスパイラルはここから本格化していくだろう。
【緒方 克美】
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