企業倒産を追う「グリーンインフラレンディング」~再生可能エネルギー事業で資金を集め、目的外に流用する魑魅魍魎たち(前)
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ソーシャルレンディングとは、「ネット上でお金を借りたい人、企業」(ボロワー)と、「ネット上でお金を貸したい人、企業」(レンダー)を結び付ける融資仲介サービスである。ネットを介して小口投資できる手軽さから市場は年々拡大。新しい制度が導入されるとき、必ず利権が発生する。再生可能エネルギー事業の名目で資金を調達し、目的外に流用する魑魅魍魎たちが群がった。
グリーン社は破産、親会社のJCSは民事再生
ソーシャルレンディングの(株)グリーンインフラレンディング(東京・港区、中久保正己社長、以下、グリーン社)は4月9日、東京地裁から破産開始決定を受けた。負債総額は一般投資家を中心にした債権者4,855名に対して、約120億円。
ネット経由で小口資金を集めて融資を仲介する投資募集会社、maneoマーケット(株)(東京・千代田区、以下、マネオ)が3月8日、債権者破産を申し立てた。
グリーン社はマネオのプラットフォームを使ってファンド形式で投資家から資金を集め、太陽光やバイオマス発電事業者への融資を手がけていた。2016年秋から10%超の配当をうたい資金を集めた。
しかし、投資家への支払いが延滞しているファンドは22件あり、マネオは資金の状況などを説明するよう求めてきたが、グリーン社が応じず、マネオは法的手続きをとった。
グリーン社の親会社である、太陽光発電システム開発やバイオマス発電開発を手がける(株)JCサービス(東京・港区、登記上:大阪市西区、中久保正己社長、以下、JC社)は3月24日、東京地裁に民事再生法の適用を申請した。負債総額は債権者158名に対して153億円。子会社のグリーン社のように破産を申し立てられる懸念があったため、民事再生を申し立てた。
JC社とグリーン社は法的処理に持ち込まれ、ようやく決着がついた。両社のスキャンダルが火を噴いたのは3年前のことだった。
細野豪志議員に疑惑の5,000万円貸し付け
18年6月27日付『朝日新聞』は1面と社会面で、「細野豪志元環境相が昨年10月の衆院選の期間中に、東京都内の証券会社から5,000万円を受け取っていた」とスクープ報道した。
記事では具体的な企業名は書かれていないが、この証券会社は、グリーン社の親会社JC社が17年5月に買収したJC証券(株)(東京・港区)である。
『朝日新聞』の一連の報道によると、JC証券は買収後の稼働実績はほとんどなかったが、細野氏に5,000万円を貸与する6日前(10月13日)に、親会社のJC社はJC証券に2億5,000万円超を増資。その一部が細野氏にわたっていた。
細野氏は17年8月に民進党を離党。小池百合子・東京都知事が9月に立ち上げた新党「希望の党」に結成メンバーとして参加し、候補者調整にあたるなど中核的な役割を担った。自身も公認候補として衆院選に立候補し、選挙区(静岡5区)で当選したが、希望の党は小池氏の「排除」発言などで大敗を喫した。その後、細野氏は無所属になり、現在は自民党二階派に属している。
この衆院選の際、細野氏の事務所から「政治活動を支援する目的で」貸し付け依頼があった。JC証券の取締役会では反対の意見は強かったが、JC証券の取締役を兼務する親会社JC社社長・中久保氏が押し切ったという。
JC社代表取締役・中久保氏と細野議員は深い関係にある。
17年12月、中久保氏は細野氏を団長とする超党派の議員団を引き連れてタイ王国を訪れ、ソムキット・チャトウシービタク・タイ副首相を表敬訪問した。JC社のホームページに誇らしげに掲載されている。
さらに、JC社は細野氏が環境大臣を務めた12年に公募された環境省の再生エネルギー事業の事業者として選ばれ、2億9,600万円の補助金を得た。
JC社の常勤取締役は元自誓会(細野派)の田村謙治元衆議院議員で、和田隆志元民主党衆議院議員も非常勤取締役だ。
(つづく)
【森村 和男】
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