【再掲】2050年代を見据えた福岡のグランドデザイン構想(20)~新型コロナの航空業界への影響
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C&C21研究会 理事 下川 弘 氏
中国武漢が起源とされる新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は2019年末に発生して以降、瞬く間に世界中に広がり、パンデミックとなり、今なお猛威を振るい続けている。この新型コロナにより、世界中の人々の移動が制限されたのだ。
国際航空運送協会(IATA)は20年11月24日、今回の新型コロナの影響によって、20年の年次報告でRPK(旅客キロ/各有償旅客が搭乗し、飛行した距離の合計。有償旅客数×輸送距離)が、前年比で66.3%減少するとの予測を発表。第二次世界大戦以降で、最悪の落ち込みになると見込んだ。
国内の航空会社では、日本航空(株)は21年3月期の連結決算では、売上高が前年同期比65.3%減の4,812億2,500万円に対し、2,866億9,300万円の最終赤字を計上した。全日本空輸(株)を子会社にもつANAホールディングス(株)の21年3月期連結決算も、前年同期比63.1%減の売上高7,286億8,300万円に対し、4,046億2,400万円の最終赤字となった。両社とも過去最大の巨額赤字だ。
福岡空港でも、空港を運営する福岡国際空港(株)の21年3月期連結決算において、営業収益は前期比66.2%減の146億8,000万円となり、221億1,000万円の最終赤字となった。新型コロナの感染拡大にともなう大幅な旅客減により、着陸料や免税店収入などが大きく減少したのが要因。19年4月に民営化した福岡空港では、空港運営権の対価として、福岡国際空港が国に年約140億円を30年間にわたって支払う契約となっている。福岡国際空港では現在、20年度分の支払いについての減免・猶予を国交省に求めている。
こうした状況下で、福岡空港が従前より抱えていた容量限界や混雑状況などの問題は、図らずも解消する事態にはなった。しかし、もちろんそれを「良かったね」と喜べる状況にはないことは、誰しもがわかるだろう。
今回の新型コロナや、韓国・文政権下での日韓関係の悪化などの影響から見えてくるのは、もはやインバウンド(外国人観光客)の増減が、日本および九州の経済に大きな影響をおよぼす時代になっていることが明らかであるということだ。
(つづく)
<プロフィール>
下川 弘(しもかわ・ひろし)
1961年生まれ、福岡県出身。熊本大学大学院工学研究科建築学専攻修士課程を修了後、87年4月に(株)間組(現・(株)安藤・間)に入社。建築設計第一部や技術本部、総合企画本部企画部などを経て、99年1月には九州支店営業部に配属。その後、建築営業本部やベトナム現地法人、本社土木事業本部営業部長などを経て、2020年9月から九州支店建築営業部営業部長を務める。社外では99年9月からC&C21研究会事務局長(21年8月から理事)を務めるほか、体験活動協会FEA理事、(一社)日本プロジェクト産業協議会の国土・未来プロジェクト研究会幹事、(一社)防災教育指導協会顧問など数々の要職に就いている。関連記事
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