次期衆院選を最大活用する方策
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NetIB-Newsでは、政治経済学者の植草一秀氏のブログ記事を抜粋して紹介する。今回は、「枝野幸男氏が『米国・官僚機構・巨大資本』トライアングルの勢力との癒着を断ち切れないなら、日本の主権者は枝野幸男氏に見切りをつけなければならない」と訴えた6月5日付の記事を紹介する。
菅義偉内閣の末期症状が続く。
昨年9月の内閣発足以来、成果は皆無。
失点だけを積み上げてきた。学術会議の任命拒否問題はいまなお解決されていない。
国民にとって最重要課題はコロナ対応だったが失政を繰り返して深刻な事態を招いた。
五輪開催の絶対条件は主権者国民の賛意だが国民の圧倒的多数が今夏開催に反対している。このなかで五輪開催を強行する目的は自己利益。
国民の不利益を踏み台にして自己利益の増大を図る。
宰相としてあるまじき姿勢だ。同類の行動を示すのがIOC。
IOCの金銭的利益のためなら日本国民にどのような被害が発生しようと構わない。
傍若無人の自己本位主義がはびこる状況はこの世の末を感じさせる。この状況下で衆議院の任期満了が近づく。
本年10月までに必ず衆院総選挙が実施される。国政を左右する最大の要因は総選挙。
総選挙で多数議席を獲得した勢力が政権を担う。
国政を変えるには選挙で多数議席を獲得することが唯一にして最大の方策だ。菅内閣大失政が続くなか、政権刷新気運が高まって当然の局面。
しかし、その気運が広がらない。
2009年の状況と著しく異なる。08年から09年にかけてリーマン・ショック、サブプライム金融危機不況が世界を襲った。
日本でも深刻な不況が発生した。
08年末には製造業で雇用を打ち切られた大量の非正規労働者が寒空の下で路頭に投げ出された。東京・日比谷公園には年越し派遣村が創設され、命からがら人々が駆け込んだ。
新自由主義経済政策の負の側面が誰の目にも明らかになった。
この状況下で主権者の期待を一身に浴びたのが民主党の鳩山代表だった。06年の代表選で小沢一郎氏が選出された。
解党の危機に直面した民主党で火中の栗を拾った。
ここから、民主党は奇跡の大躍進を遂げる。既得権勢力による日本支配維持を目論む勢力による不当な攻撃、弾圧によって小沢-鳩山体制の民主党は猛攻撃を受けた。
しかし、この猛攻撃を跳ね返して小沢-鳩山体制の民主党は主権者国民の熱烈支持を受けた。その結果として、09年8月30日衆院総選挙で民主党が大勝。
ついに日本民衆の力によって政権を刷新する偉業が達成された。残念ながら、画期的な革新政権はわずか8カ月で破壊された。
日本支配を続けてきた既得権勢力が悪の限りを尽くして鳩山内閣を破壊した。
この破壊活動に全面的に協力したのが民主党内に潜伏していた「隠れ自公勢力」だった。私は「悪徳10人衆」として破壊者を明記した。
藤井裕久、仙谷由人、渡部恒三、菅直人、岡田克也、野田佳彦、前原誠司、安住淳、枝野幸男、玄葉光一郎の各氏。
革新政権の鳩山内閣は破壊され、守旧勢力が菅直人内閣、野田佳彦内閣を創設し、公約破棄の消費税増税に突き進んで安倍自民に大政を奉還した。
立憲民主党は政権刷新の最大チャンスを生かせていない。
菅内閣がどれだけ失政を重ねても、枝野新政権に対する期待が一向に高まらない。
その理由は枝野幸男氏の優柔不断な姿勢にある。新しい政権のビジョンをまったく示すことができていない。
新しい政権樹立に向けての共闘の在り方も不明確だ。
これでは政治刷新は覚束ない。テレビに登場して単独で発言する機会を得ながら、その機会をまったく生かせていない。
優柔不断な姿勢を変えられないなら、枝野氏は主権者から見切りをつけられる。日本支配を維持しようとする既得権勢力は現在の自公と類似した、もう1つの政治勢力を構築して、この2つの勢力間で政権交代が生じる二大政治勢力体制を構築しようとしている。
自公に類似した政治勢力の本質とは何か。
3つの基本事項がある。第一は、米国への隷従。
敗戦後日本の支配者は米国だ。
正確に表現すれば、米国を支配する巨大資本。
この巨大資本勢力は手中に収めた日本の利権を手放そうとしない。
二大政治勢力の絶対条件が「対米隷属の維持」である。第二は、巨大資本の利益を基軸にすること。
日本政治を支配しているのは巨大資本。
巨大資本が政治献金等を通じて政治勢力を支配する。
その結果、巨大資本に利益を供与する政治が維持されている。第三は、官僚機構に支配される政治の維持。
官僚機構は日本の支配者である米国、および国内の巨大資本と癒着して、官僚機構による日本政治支配構造を維持している。この「米・官・業」トライアングルが敗戦後日本政治を支配し続けてきた。
二大政治勢力体制のもう1つが、現在の自公勢力と同様に「米・官・業」トライアングルと結託する勢力になれば、既得権勢力による日本支配の構造は半永久的に揺るがぬものになる。
日本支配維持を目論む既得権勢力が、「米・官・業」トライアングル勢力と癒着するもう1つの二大政治勢力を構築しようと躍起になっていることは明白だ。
この体制に移行するなら、日本政治刷新の可能性は潰えることになる。
日本は永遠に「米・官・業」トライアングルの支配下に組み込まれた国であり続けることになる。いま求められているのは、「米・官・業」トライアングル勢力と癒着する政治勢力構築ではなく、「米・官・業」トライアングル勢力と対峙する政治勢力構築だ。
この点について枝野幸男氏の姿勢が問われている。10年の鳩山内閣破壊の経緯を踏まえれば、枝野氏が「米・官・業」トライアングル勢力と癒着する方向に進む蓋然性は高い。
現に、枝野氏の言動はその方向感を示唆している。枝野氏がこの方向に進むなら、日本の主権者国民は枝野氏勢力との訣別を決断しなければならない。
なぜなら、この延長線上に日本政治刷新の道は拓かれないからだ。
米国による支配、大資本による支配、官僚による支配を断ち切ることこそ政治刷新の目的。鳩山内閣がなぜあれほどの総攻撃を受けたのか。
鳩山内閣が、米国による支配、大資本による支配、官僚による支配を断ち切ることを目指したからだ。いま必要なことは、現在の自公政治を刷新する明確な方針の下に市民と政治勢力が結集すること。
自公と類似した第二勢力が構築され、仮に政権交代を実現しても意義は乏しい。
「米・官・業」トライアングルと癒着する政治の基本構造が変わらないからだ。
「米・官・業」トライアングル勢力との癒着を断ち切る政治勢力結集が求められる。日本の支配者である米国=ディープ・ステイト=CIAは、日本政治刷新の可能性を断ち切るために、大企業御用組合とこれに支えられる政治勢力を工作活動の中核に位置付けてきた。
旧同盟と民社党、現在の連合六産別と国民民主党だ。
この勢力が共産党を含む野党共闘構築を妨害する工作勢力として位置付けられていると判断できる。従って、この勢力を除外した「たしかな野党勢力」結集が必要不可欠。
共産党を含む野党共闘に躊躇する人は、共産党単独で政権を目指すことと明確に区別して考えるべきだ。米国隷従、大資本との癒着、官僚支配体制堅持の現在の日本政治を刷新することが現在の最優先事項だ。
この政治刷新を実現するには共産党を含む野党共闘構築が必要不可欠だ。枝野幸男氏が「米・官・業」トライアングル勢力との癒着を断ち切れないなら、日本の主権者は枝野幸男氏に見切りをつけなければならない。
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