2024年12月22日( 日 )

「減塩」など企業の取り組みを推進、今夏に産学官による組織を発足~厚労省

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「若い女性のやせ」「栄養格差」も対象

 厚生労働省の「自然に健康になれる持続可能な食環境づくりの推進に向けた検討会」は23日、日ごろの食生活で健康を維持・増進できる環境の整備を目的に、内食・中食の減塩対策を柱とする報告書を取りまとめた。

 日本は海外諸国と比べて食塩摂取量が多く、生活習慣病の原因となっている。1日当たりの食塩摂取量は10.1gで、世界保健機関(WHO)の推奨量「1日5g未満」の2倍に相当する。

< 報告書は、そうした現状を改善するため、まずは内食・中食を対象に、食品メーカーによる減塩商品の開発、小売業による販売促進が重要との考え方を示した。食品メーカーの取り組みとして、塩分カットの加工食品や調味料などの開発を想定。小売企業については、健康に配慮したコンビニ弁当や総菜の販売、スーパー店頭での減塩商品の販売促進などが想定される。

 

 また、健康に役立つ食品の供給は、環境保全に配慮して継続される必要があることから、「持続可能な食料システム」の構築を求めている。

 これらの各社の取り組みを支援するため、厚労省と国立健康・栄養研究所が科学的データを整備し、減塩商品や減塩レシピの開発の際に活用してもらう方策も盛り込んだ。

 減塩以外では、若い女性のやせも課題に位置づけた。日本の20~30代女性のやせの割合は、先進国のなかで最も高く、とくに妊娠前のやせは早産や低出生体重児の出産のリスクを高めるという。さらに、各家庭の収入の違いによって、栄養摂取の状況に差(栄養格差)が生じていることも課題に挙げた。

「表示・マーク」「情報公開」によるインセンティブ

 報告書は、「食塩の過剰摂取」「若い女性のやせ」「栄養格差」という各課題の解消に向けて、厚労省が産学官による組織を立ち上げ、食品メーカーや小売企業の取り組みを本格化させるように提言。

 新たに立ち上げる組織は、参加企業がそれぞれの取り組みに応じた社会的評価を得られるように、専用ウェブサイトで各社の実施状況を公表する。これに加えて、健康に配慮した商品であることを消費者が識別できるように、商品パッケージや広告への表示・マークの記載も検討する考えを示した。

 各社の実施状況を公表することで、企業価値が高まり、投資などの面でもメリットが出ると指摘している。

 取材に対し、厚労省の担当官は「今夏をめどに組織を立ち上げ、(組織で)商品への表示などについて考えることになる」(健康局健康課栄養指導室)と説明した。

【木村 祐作】

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