2024年12月25日( 水 )

【福岡県知事インタビュー】コロナ危機を乗り越えて~「選ばれる福岡県」を実現する(4)

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福岡県知事 服部 誠太郎 氏

 今年3月24日、病気治療のため3期目途中で辞職した小川洋・前福岡県知事の後継として、4月11日の県知事選で当選をはたした、前副知事の服部誠太郎氏(66)。それまで総務省から任命されてきた財政課長に県政史上初めてたたき上げから抜擢され、その実力は県政関係者の誰もが認めるところだった。選挙戦を経て県知事に就任した服部氏。「小川県政の継承」とともに、まずは新型コロナ対策でその手腕が試されるかたちとなっている。

(聞き手:(株)データ・マックス 代表取締役社長 児玉 直)

九州のリーダー県としてさらに飛躍を

 ――九州の7つの県のなかで、発展のためのさまざまな条件が整備されているということでいえば、やはり福岡県が最も有利です。

 服部 九州全体の力は大きく、これからの日本の発展を支えるのは九州であり、そのリーダー県は福岡だと思っています。福岡県がリーダーにふさわしい発展をし、飛躍していかないといけない、そのためには新しい産業を育てていかないといけません。たとえば久留米地域のバイオ産業や、(株)QPS研究所(福岡市中央区)の超小型レーダー衛星などの宇宙ビジネスが挙げられます。衛星開発には県内のものづくり中小企業が17社参画していますが、こうした宇宙ビジネスは今後さらに伸びていく可能性があります。

 また、航空機産業も今はコロナで低迷していますが、必ず需要は回復します。中型機やプライベートジェットなどは中国などにおけるニーズが高まっており、今後こうした需要を福岡県に呼び込み、県内企業参入につなげたいと思います。そして、自動車産業もガソリンエンジンだけに頼る時代ではなくなりました。EV(電気自動車)やFCV(燃料電池自動車)に対応できるように自動車関連企業を誘導・転換させていかなければなりません。

 ――福岡県独自ということでは、FCVの普及に力を入れていますね。CO2の排出量をゼロにするのであれば、究極的には水素燃料電池自動車しかありません。

 服部 CO2の排出量をゼロにするのであれば、水素の由来が重要になります。ガスや石油から生産された水素では駄目なわけです。私は、水素と洋上風力発電は不可分だと考えています。我々は今、福岡県響灘沖の一般海域での洋上風力発電設備の設置に向けて、早期に再エネ海域利用法上の促進区域に指定されることを目指しています。ここで風力発電関連の産業集積を図り、同時に風力発電分野に自動車関連企業の皆さまの技術を使えるようにしていきたいと思います。そこでできた電力を水素生産に生かしていく。残る問題はコストです。私も経済産業省の水素・燃料電池戦略協議会に自治体代表として参加していましたが、変換効率の問題から生じるコスト高がどうしても存在するため、いかに水素のコストを下げていくかということが普及の課題です。

 ――県知事として福岡をどうかじ取りするのか考えた場合、全国でも稀(まれ)な500万人超という人口は福岡県の潜在能力を如実にあらわす数字だと思います。

 服部 亀井光元知事(第6代~9代〈1967~1983年〉福岡県知事)が「雄県福岡」と表現したように、私自身もこの福岡が九州のリーダー県であると思っています。福岡県が九州を引っ張り、さらには日本を支えていくという気概をもって、福岡県を元気に飛躍させていく、これは本当にやりがいのある仕事です。そのためにも一刻も早くコロナ危機を乗り越えなければなりません。現状では市場が委縮しており、人が動かないからモノが動かない、モノが動かないとお金(経済)も動かないわけで、そうなると景気が止まってしまいます。ですから、早くここから脱却しなければなりません。視点を世界に置いて、そして未来に向けて、県民の皆さまと一緒に福岡県の未来に向けての扉をどんどん開いていき、県民の皆さまが安心して、たくさんの笑顔で暮らせる福岡県にしていきたいと思います。

<プロフィール>
服部 誠太郎(はっとり・せいたろう)

1954年生まれ。北九州市出身。福岡県立小倉高校を経て77年に中央大学法学部卒業。同年、福岡県庁入庁。2004年総務部私学学事振興局学事課長、06年総務部財政課長、09年総務部次長、10年福祉労働部長、11年10月福岡県副知事。21年4月、小川洋・前知事の辞職にともなう県知事選挙(4月11日投開票)で初当選、公選第20代福岡県知事就任。

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