海の「情報ハイウェイ」、海底ケーブル(前)
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日韓ビジネスコンサルタント 劉 明鎬 氏
世界各国は2050年までに「カーボンニュートラル」を実現する手段として、洋上風力の導入を急いでいる。洋上風力発電により海上で発電した電気を陸地まで送電するためには海底ケーブルが必要となることなどの要因により、海底ケーブルの需要が急激に伸びており、その市場は活況を呈している。今回は、海底ケーブルの市場動向を取り上げたい。
ますます高まる海底ケーブルの需要
最近、「カーボンニュートラル」という言葉を耳にすることが増えた。「カーボンニュートラル」とは、直訳すると「炭素中立」という意味であり、二酸化炭素の排出量をさまざまな手段で相殺し、排出量を実質ゼロとすることを指す。
洋上風力発電により海上で発電した電気を陸地まで送電するためなどに用いられる海底ケーブルは、つなぎ目なしにより長く製造することが求められ、技術面での難易度が高いことから、世界市場は数社による寡占状態にあり、上位3社でシェア90を占めている。海底ケーブルは海底に敷設されており、普段は見かけることがあまりないため、一般的にはなじみが薄い。しかし、電力の安定供給と需要の平準化などを目的にして、国境や海を越えて海底ケーブルで電力網を繋ごうとする計画などもあり、その需要はますます高まっている。
海底ケーブルとは
アマゾンやイーベイを利用して、海外まで足を運ばなくとも海外の商品をショッピングできたり、海外旅行を楽しんでいる友達にメッセンジャーアプリでリアルタイムに連絡ができるのは、インターネットのおかげである。インターネットの縁の下の力持ちである、世界中の海底に張りめぐらされた海底ケーブルがあるからこそ、便利な世の中が実現しているのだ。
海底ケーブルには、メタルケーブルと光ケーブルの2種類があり、現在は進化した光ケーブルが主流である。光ケーブルとは、光ファイバーという髪の毛程度の細さの透明な線を束ね、周囲を保護したケーブルであり、電気信号を光の信号に変換して、光ファイバーを通すことで通信する。光ケーブルはメタルケーブルで送信するのに比べて、長い距離を伝送しても減衰が少ないという特長がある。
国際間の通信需要が増えるにつれて、海底ケーブルの需要はますます増加することが見込まれている。現在の国際データ通信の99%は海底ケーブルが担っており、残りの1%は衛星通信が占めている。海底ケーブルは安定した通信を安い費用で可能しているため、現在の通信や送電で主流の設備となっている。
電線といえば、以前は地中に埋まっている同軸ケーブルであったが、国境や海を超えて電力網をつなぐことも増えており、海底ケーブルの需要が地中ケーブルの需要を超えている。加えて、洋上風力の開発ブームも起こっているため、海底ケーブル市場は急激に成長することが予想される。
風力発電の全世界の発電容量は2018年に23GWであったが、30年には10倍近く成長し、200GWとなることが予測されている。海底ケーブルの需要もこれに比例して伸びていくことは間違いない。しかし、需要が伸びることがわかっていても、多くの企業が海底ケーブルの製造に容易に参入できるわけではない。海底ケーブルは、水深数十mから数kmの海底で平均約30年の寿命に耐える性能が必要であり、長さ50kmのケーブルをつなぎ目なしに1本のケーブルとして製造できる技術力が要求されるためだ。
(つづく)
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