フィデアホールディングスが東北銀行と経営統合~急速に進む地銀の金融再編
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東北地方の経営統合
東北地方の金融フィナンシャルグループ(FG)は、2009年10月1日に設立された「フィデアホールディングス」(以下、フィデアHD)と、12年10月1日に設立された「じもとホールディングス」(以下、じもとHD)の2社。フィデアHDは第一地銀、じもとHDは第二地銀同士の経営統合。
◆青森県を地盤とする青森銀行とみちのく銀行は5月14日、22年4月に経営統合して、共同で持株会社を設立すると発表。両行はその傘下に入り、24年4月の合併を目指す。再編後の県内の貸出金シェアは7割となるが、十八銀行と親和銀行の合併後、同一地域の再編を認める独占禁止法の特例法を初適用する事例となりそうだ。
・みちのく銀行の藤沢貴之頭取は記者会見において、「(統合相手として)ベストだと判断した」と統合の理由を述べた。青森銀行の成田晋頭取は「両行は隣り合わせの店も多数ある。効率化の観点から見直しの対象になる」とし、店舗網の統廃合にも着手すると明らかにした。人口減少に新型コロナウイルス禍が重なり、地方経済が大きな打撃を受けるなか、長年過剰が指摘されてきた地銀が統合する先行的なケースとなる。
みちのく銀行は24年10月に返済期限を迎える200億円の公的資金を抱えるが、両行で返済に向けた協議を進めるという。青森銀行とみちのく銀行の経営統合の動きを受けて、荘内銀行と北都銀行を傘下にもつフィデアHDと東北銀行は、22年10月の経営統合に向けて協議することで基本合意したと発表。
フィデアHD(株)の田尾祐一社長(荘内銀行頭取)と東北銀行の村上尚登頭取、北都銀行の伊藤新頭取の3人は7月2日、仙台市内で共同の記者会見に出席した。・フィデアHD(株) 本部/宮城県仙台市青葉区中央3-1-24 田尾祐一社長
・荘内銀行 本店/山形県鶴岡市 田尾祐一頭取
・北都銀行 本店/秋田県秋田市 伊藤新頭取
・東北銀行 本店/岩手県盛岡市 村上尚登頭取経営統合を決めた理由
◆地方銀行を取り巻く環境は、低金利や人口減少に加え、新型コロナウイルス禍の長期化で厳しさを増している。フィデアHDと東北銀行は18年2月に包括業務提携を締結したが、経営効率化のために一段の連携強化が不可欠と判断した。
◆北都銀行と東北銀行は、それぞれ100億円の公的資金を受け入れており、返済に向けた財務の改善も課題となっていた。
◆東北銀行の村上頭取は「東北全域をカバーする金融グループとなり、3行の強みやノウハウの共有で経営基盤強化が見込める」と語った。一方、田尾社長は合併について「今のところまったく考えていない」と述べ、地域の顧客との信頼関係維持のためにも、3行体制を継続する考えを示した。統合を決めた背景として田尾社長は「金利が低く、新しい業界が金融に参入している」と述べ、競争環境が厳しくなっていることを挙げた。本部機能やシステムなどの統合・共通化を進め、「県境を越えた広域連合で収益強化を目指す」考えを示した。
両社は今後、統合準備委員会を設置し、株式交換比率や統合後の業務効率化、収益力の向上策などを協議する。22年2月中旬をめどに最終契約を締結し、岩手を地盤とする東北銀行がHD傘下に入り同年10月1日の経営統合を目指す。東北銀行は同年9月29日に上場廃止となる予定。
フィデアHDと東北銀行の店舗(出張所含む)は岩手、秋田、山形各県を中心に合計で230店近くある。統合後は店舗の統廃合を進めるものの、広域なネットワークを活用して、県境をまたいだ企業のマッチングやM&A(合併・買収)などを支援していくことにしている。【表1】、【表2】の通り、地銀の経営状況は厳しさを増しており、東北地方だけでなく、全国の地方銀行の金融再編は、さらに加速することになりそうだ。
【(株)データ・マックス顧問 浜崎裕治】
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