2024年12月22日( 日 )

白骨街道生む東京インパール組織委

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 NetIB-Newsでは、政治経済学者の植草一秀氏のブログ記事を抜粋して紹介する。今回は、「薄汚い東京五輪を打ち切り、五輪終を宣言すべきだ」と訴えた7月19日付の記事を紹介する。

芸人が権力に媚びを売ってレギュラー番組司会者の地位にしがみつく姿は人として残念。

最悪の御用番組に堕しているのがTBS「サンデー・ジャポン」
土曜日夕刻の「報道特集」が社会の木鐸としての報道機関の役割を果たそうと真摯な取り組みを示すのに対し、「サンデー・ジャポン」の御用ぶりは痛々しい。

進行を務める太田光氏の偏向ぶりが許容範囲を超えている。
司会進行役が回りくどい自説をぐだぐだと述べ続けるのは滑稽でしかない。
番組を自分自身の演説会とでも勘違いしているのだろう。
発言内容は政治権力に媚びるものしかない。

菅義偉氏が国民の命と健康を犠牲に、自分自身の利益のために五輪開催を強行しようとしている。
その権力にすり寄り、政権援護の発言しか示さない。
このような番組を放置するからメディアが信頼を失う。

7月18日番組では過去の障碍者への犯罪行為ともいえるいじめを得意にインタビューで語ったことが問題視されている小山田圭吾氏の問題が取り上げられた。

出演したカズレーザー氏が説得力のある主張を示した。

カズレーザー氏は
「再挑戦ができる社会というのも望ましいんで。
この方のことを結構調べたんですけど。
昔のイジメことは出てくるんですけど、それ以外の情報、たとえばイジメを悔いているので、こういった活動をしていますという情報は見つからなかった」

「今批判の声が大きいというのは(過去の)マイナスの埋め合わせ作業をしてなかったということなんで、これは批判されて当たり前の自業自得の話なんです。
それがいえないんだとしたら、疑われても仕方ないんじゃないかな」
と述べた。

小山田氏が雑誌で語ったいじめの内容は、凄惨なもの。
イジメは小学校から高校までずっと行っていた。

「全裸にしてグルグルにひもを巻いてオナニーさしてさ。ウンコ喰わしたりさ。ウンコ喰わしたうえにバックドロップしたりさ」(「ロッキング・オン・ジャパン」)

「クイック・ジャパン」のインタビューでは、小学校のときには障がいのある同級生の体をガムテープで巻き、身動きが取れないようにして、段ボールに入れたことが語られている。

「同じ同級生のことは高校生時代にもイジメた。みんなでジャージを脱がせ、下半身を露出させた。
女の子とか反応するじゃないですか。だから、みんなわざと脱がしてさ、廊下とか歩かせたりして」(「クイック・ジャパン」)

さらに、
「掃除ロッカーのなかに入れて、ふたを下にして倒すと出られないんですよ。すぐ泣いてうるさいから、みんなでロッカーをガンガン蹴飛ばした」

「マットの上からジャンピング・ニーパットやったりとかさ――。あれはヤバいよね、きっとね」

小山田氏がいじめた同級生の1人は自殺を考えたともいう。
「ロッキング・オン・ジャパン」のインタビュー記事は1994年1月号に掲載されたもので2万字にのぼるロングインタビュ――。

この当時、重大刑事事件が発生している。
93年5月に発生した「山形マット死事件」。
93年1月13日夕方、新庄市立明倫中学校1年生の男子生徒が同中学校の体育館用具室内で遺体となって発見された事件。

生徒の遺体は巻かれて縦に置かれた体育用マットのなかに逆さの状態で入っており、死因は窒息死だった。

山形県警察は傷害および監禁致死の容疑で、死亡した生徒をいじめていた当時14歳の上級生3人を逮捕、当時13歳の同級生4人を補導した。
一歩間違えば小山田氏のいじめは殺人事件に発展していたとも考えられる。

この事案について太田光氏は延々と
「時代の価値観を知りながら評価しないとなかなか難しい」
との自説を主張し続けた。
太田氏の頭のなかには政権に媚びを売ることしかないのだろう。

自分の政治的利益のためだけに五輪開催を強行する菅義偉氏の姿勢とだぶる。
ただ政治権力に媚びを売ることしか考えていない。
あまりにも醜い生きざま。

犯罪的ないじめ行為を是とする時代の価値観など存在したことはない。
サンデー・ジャポンは直ちに司会進行者を差し替えるべきだ。

女性蔑視発言で引責辞任に追い込まれた森喜朗氏。
五輪組織委は緊急事態宣言が発出され不要不急の外出自粛が要請され、多人数の集会自粛が呼びかけられているなかでパーティー開催を強行。

国民の誰も歓迎していない欲ボケIOCのバッハ会長歓迎パーティー開催を強行した。
そのパーティーに森喜朗氏が招かれ、スピーチを行ったと報じられている。
狂気の五輪組織委員会だ。

組織委員会はオリパラの楽曲提供担当に小山田氏を起用したことを発表した。
オリパラに障碍者に対する殺人にも近い加害行為を行い、その行為を得意になって公表してきた人物を起用した。

カズレーザー氏が指摘するように、小山田氏は雑誌でのいじめ事実公表後に、その事実に対する謝罪、贖罪行為を一切示してきていない。
今回問題が発覚した後に、初めて謝罪文を発表しただけで、現時点まで加害行為に対する謝罪、贖罪を実行してきていない。

小山田氏は公式サイトで、
「過去の言動に対して、自分自身でも長らく罪悪感を抱えていたにも関わらず、これまで自らの言葉で経緯の説明や謝罪をしてこなかった」
と明記している。

この小山田氏を「いかなる差別も禁じる」との五輪憲章を掲げるオリンピック、障がい者アスリートの祭典であるパラリンピックの楽曲提供担当に起用したのは五輪組織委員会。
問題発覚後に謝罪したから済む問題でない。

犯罪的ないじめ行為を長期間にわたり実行し、その事実を武勇伝として雑誌記事において発表し、いじめ行為に対する謝罪も贖罪も行ってきていないというのが厳然たる事実である。

その小山田氏をオリパラの楽曲提供者に起用することに合理性はない。
小山田氏が辞任するか、組織委が更迭するかのいずれかの道しかないと考えられる。

組織委が謝罪をもって問題が解決したとする姿勢は、森喜朗氏の女性蔑視発言の際に、謝罪会見をもって問題が解決したとしたIOCの姿勢と同一。

しかし、世論が許容しなかった。
結局、森喜朗氏は引責辞任に追い込まれた。

その森喜朗氏をなぜパーティーに招待し、スピーチまでさせるのか。
戦前の狂気の日本軍部と何も変わらない。
このような醜い五輪は一刻も早く終結させるべきだ。
アスリートは薄汚れた五輪の場ではなく、別の場に成果発揮の機会を見出すべきだ。

五輪に輝きは存在しない。
あるのは薄汚れた醜い欲望だけ。
五輪に訣別すべきときがきている。
薄汚い東京五輪を打ち切り、五輪終を宣言すべきだ。

同時に薄汚れているのが日本のマスメディア。
権力に媚びる茶坊主ばかりが跋扈する。
とりわけTBS「サンデー・ジャポン」の醜悪さは群を抜いている。

日本政治の刷新が大きな課題だが、政権刷新を実現した際に、直ちに取り組むべきテーマがメディアの浄化。
NHKは政治権力による放送法悪用により政治権力の御用機関に堕落させられている。
NHKを公共放送として抜本的に生まれ変わらせることも重要テーマ。

放送法改正が直ちに必要になる。
民間メディアは政治権力と癒着する巨大資本によって支配されている。
企業献金を容認していることが大資本による政治支配の主因。
企業献金を全面禁止することが不可欠だ。

現状では市民が独自に偏向番組と偏向司会者のリストを公表し、主権者に警鐘を鳴らすことが必要だ。


▼関連リンク
植草一秀の『知られざる真実』

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