感染の再拡大懸念で韓国では規制強化(前)
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日韓ビジネスコンサルタント 劉 明鎬 氏
インドで昨年の秋に初めて確認された変異ウイルス「デルタ株」は現在、韓国をはじめ世界104カ国に拡散し、猛威を振るっている。韓国では、新規患者のなかでデルタ株の比率が1週間の間に10%から23%と2倍以上に急激に増加したことに対して、韓国政府は強い懸念を示している。韓国政府は効果的な対策を講じる必要があると考えて、首都圏について今月12日から2週間、新たに導入された規制措置のレベルのなかで最も高い第4段階とすることを決めた。
米国でも「デルタ株」は今年3月に初の患者が発生し、先月の初旬には「デルタ株」の患者は新型コロナウイルス患者の3%に過ぎなかったが、わずか1か月の間に急速に広がり、全患者数の3割以上を占めるようになった。
イギリスでも、新型コロナウイルス患者の99%はデルタ株の患者であることが確認された。ヨーロッパでも、デルタ株の感染拡大が進み、デルタ株の比率は新型コロナウイルス患者の9割を占めると予想されている。
韓国もご多分に漏れず、デルタ株の変異ウイルスの感染拡大が起こっていて、韓国政府はその対応に迫られている。
今までの研究報告によると、イギリスで確認された変異ウイルスである「アルファ株」に比べて、「デルタ株」は伝染力が40%~60%高いとされている。「デルタ株」の特徴は増殖スピードが速く、潜伏期間も従来のウイルスに比べて2日ほど短くなるという。
ワクチンの接種が進み、新型コロナウイルスの終息への期待感が高まっていただけに、このような状況に対して、韓国政府も国民も当惑している。幸いにも、ワクチンは変異ウイルス「デルタ株」にも効果があるという研究報告が出ているが、2回接種が必要なファイザーやアストラゼネカのワクチンの場合、1回の接種のみではデルタ株に対する接種効果は急激に下がり、33.5%になるという。ウイルスは自身の生存をかけて変異をするため、今後も多くの変異が発生することが予想されており、いつまた新しいワクチンが必要となるのかもわからない。
ワクチンの接種で新型コロナウイルスは終息に向かうという良いムードは消え、新型コロナウイルスとの付き合いがこのまま続くのではないかという一抹の不安が募っている。このような危機感が漂う状況のなか、韓国では13日、1日あたりの新型コロナウイルスの感染者は過去最多の1,614人となった。
韓国政府が規制措置のレベルを最も高い段階に引き上げて、日中の会合は4人まで、夜間の会合は2人までに規制するなどの厳しい対応を取った。また、結婚式や葬儀には親族しか出席できなくなり、スポーツは無観客で行われるようになった。
このような規制措置で甚大なダメージを受けているのは、自営業者である。筆者のオフィスがある新市街地の江南では、夜になると、お店は食事や接待をする人々でいつも賑わっていたが、今回の規制措置により、いつも満席であったお店も1つか2つのテーブルにお客がいるだけで、閑散としていた。
今回の規制措置は12日から2週間続くとされているため、月の半分はまるで商売にならない。新型コロナウイルスが1年半も続くなか、ようやく踏みとどまっていた自営業者にとどめを刺す一撃になるのではないか、と筆者は密かに危惧している。韓国政府に対する不満も溜まり、今回の規制措置は来年の大統領選挙においても、与党に悪い影響を与えるのではなかろうか。
(つづく)
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