感染の再拡大懸念で韓国では規制強化(後)
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日韓ビジネスコンサルタント 劉 明鎬 氏
インドで昨年の秋に初めて確認された変異ウイルス「デルタ株」は現在、韓国をはじめ世界104カ国に拡散し、猛威を振るっている。韓国では、新規患者のなかでデルタ株の比率が1週間の間に10%から23%と2倍以上に急激に増加したことに対して、韓国政府は強い懸念を示している。韓国政府は効果的な対策を講じる必要があると考えて、首都圏について今月12日から2週間、新たに導入された規制措置のレベルのなかで最も高い第4段階とすることを決めた。
今回、韓国におけるデルタ株の患者発生は7割が首都圏に集中し、規制措置も首都圏を中心にレベル4に引き上げられている。韓国の首都・ソウルのなかで、もっとも大きな繁華街は明洞(ミョンドン)である。ファッション・グルメ・コスメ・エステなど何でも揃っている街である。現在は新市街地である江南にも、しゃれたお店がそろっているが、以前からソウルの代表的な繁華街であった明洞は新型コロナウイルスが発生する前までは観光客で賑わうソウルナンバーワンの観光スポットであった。
筆者は幼い時は明洞の近くで育ち、大人になって江南に移り住んでいるため、明洞のことをいつも懐かしく感じている。しかし、普段のビジネスでは、江南から川をわたって明洞に行くのは、年に数回程度であった。
新型コロナウイルスが発生する前、数年ぶりに明洞に行った時は、あまりにも明洞の街が「変身」していて、驚いた覚えがある。日本でいうと、原宿あたりの風景を思い浮かべると良いだろう。観光客で賑わっている明洞は、筆者にとってはまるで香港にいるような錯覚に陥るほどであった。しかし、新型コロナウイルスの発生で、これまで栄えていた明洞に異変が起きている。
先週も久しぶりに明洞の近くに行く用事があって、明洞に立ち寄ってみると、以前と違って行き交う人も少なく、閉店しているお店が多く、閑散とした風景に変わっていて驚いた。新型コロナウイルスが発生して1年半が過ぎた現在、10店舗中4店舗は閉店している。コスメショップの8割は営業を中止しており、以前の活気はどこにもない。新型コロナウイルスの発生で外国人観光客の足が途絶え、今回の規制措置などで韓国人も外出を控えるようになったためだ。
ユニクロなどファッションの大型店は明洞から撤退しており、有名ブランドのコスメショップもすべて営業を休止している。いままで近くのオフィスを相手に営業をしていた食堂にも、今回の規制措置で影響が出ている。
さらに、ホテルにも連鎖的に影響がおよび、売り物に出されたホテルも増えたという。韓国一の繁華街である明洞がこのような状況であるため、他の街はいうまでもない。今年の第1四半期の明洞の空室率は38%となり、過去最高を記録している。昨年の空室率は7%であったことと比べると、明洞の状況の深刻さがよく理解できる。
このように新型コロナウイルスが長引くことによって経済に甚大なダメージが発生しているが、それがいつ終息するのかもわからない。今、私たちは新型コロナウイルスの重大な岐路に立たされていることは間違いない。
(了)
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