【IR福岡誘致開発特別連載47】IR大阪、MGMとオリックスによる投資は1兆円規模に
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世界的なコロナ感染の再拡大により、IR大阪の計画は危ぶまれていたが、16日、当初の計画どおり投資総額1兆円規模((当初の鉄道延伸事業費負担の200億円も含む))で予定通りに誘致開発を行うと報じられた。
オリックス(株)と米国MGMリゾーツ・インターナショナル(以下、MGM)の2社を主体にして、地元財界の関西電力(株)や大阪ガス(株)を含めた約20社が、後に事業主体となるコンソーシアム組織にエクイティ(株主資本)参加予定として、了承されている。
IR横浜のコンソーシアム(セガサミーホールディングス(株)、ゲンティン・シンガポール、鹿島建設(株)、(株)竹中工務店、(株)大林組、ALSOKにより設立予定)もIR大阪と同様の規模である。ただし、IR横浜の実現は来月の横浜市長選挙でIR推進派の現職・林文子氏の再選が必須となるが、情勢は大変厳しい。林氏が再選できなかった場合、東京・築地市場跡地に場所を移してIR誘致開発が行われる可能性がある。
後背地人口の少ない地方都市におけるIR長崎やIR和歌山などは、この規模の事業母体の組織組成(コンソーシアムの設立)を行うには採算性に問題があるという点でハイリスクであり、元から実現は困難だ。
IRはいずれの候補地であっても巨額の投資プロジェクトであるため、事業母体の設立に際してIR横浜・大阪と同規模の国内および地元の主要企業がエクイティ参加することが必須である。IR長崎についていえば、中国企業のニキ・チャウフー・パークビュー・グループ、安藤ハザマ、(株)奥村組ではIR事業の母体として体をなさず、後にコンソーシアムを設立する組織組成とはなりえない。
加えて、中国企業オシドリとカジノ・オーストリアの2社が国内主要企業と連携してIR長崎の事業母体の組織を組成できるとは考えられない。それゆえ、この巨大なプロジェクトにおいて、各メディアが報道しているような熾烈な競争は、いずれの候補地でもあり得ない。法律の建て付けがそうなっているためだ。
IR福岡に関する状況は、いまだ表には出てきていない。関係者によると、計画当初から、IR横浜・大阪と同規模の国内主要企業の参加は内定しているようだ。それよりも、米国カジノ投資企業(Las Vegas Sands、Wynn Resorts、Hard Rockなど)との連携を再構築するために時間を要している。
米国MGMが参画するIR大阪同様、IR福岡の実行も米国経済が実質的に回復・再生できるかにかかっており、タイミングを見計らっているように見えるが、米国ではワクチン接種が進んでいることから、経済の回復と再生はそう遠くのことではないと思われる。遅ればせながら、我が国のワクチン接種も進み、問題だらけの東京五輪が完了し、衆議院選挙が終われば、IR福岡もいよいよ具体的なかたちになって、表に出てくるものと推測される。
ただ、IR大阪には、鉄道の延伸事業に代表される候補地への交通インフラなどの整備という課題あり、IR横浜は来月の市長選挙の結果次第では、他の関東都市圏へと計画の変更を余儀なくされるであろう。その点、IR福岡は、既存の交通インフラ、候補地の周辺住民や自治体との協力体制も含めて、全国で唯一、各種条件がすでに整っているといえ、IR誘致開発において大きな問題は抱えていない。
IR事業は政治家と役人が主導して実行するには無理があり、“公募”前の民間組織による水面下作業が要となる。橋下徹氏(元大阪府知事・大阪市長)は、IR事業は民間組織先行でないと実現は不可能だと断言している。IR福岡誘致開発が、どこよりも早く実現する可能性は十分にあるだろう。
【青木 義彦】
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