2024年11月14日( 木 )

【IR福岡誘致開発特別連載49】いよいよIR長崎も崩壊の危機

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ハウステンボス駅 イメージ 中国カジノ投資開発企業のオシドリインターナショナルディベロップメントは6日、長崎県が公募したRFP(提案依頼書)の審査プロセスが「不合理」であるとして、撤退すると表明した。同社は地元・長崎新聞をはじめ、メディア各社から最有力視されていた。

 一昨年には北海道苫小牧市がIR事業計画を取り止め、続いて“安倍・トランプ密約”の中心的な米国企業ラスベガス・サンズが管轄行政に対する不満などを理由に撤退。シーザーズ・エンターテインメント、ウィン・リゾーツも同様に撤退した。しかし、これらの事業計画の取り止めと撤退はコロナ禍以前のものである。

 IR和歌山の中国カジノ投資開発企業サンシティ・グループはコロナ禍のなかでの撤退ではあるが、そうした事例は枚挙にいとまがない。

 IR誘致開発事業を報道するメディア各社は当初から、公募は熾烈な競争になると伝え続けてきた。今回のIR長崎が3社に絞り込まれた際も、熾烈な争いになるという報道が見られたが、筆者は当初から「そんなことにはならない」と主張し、理由を説明してきており、正しかったことが証明されたといえよう。

 現在に至るも、全国のIR候補地でメディア各社が報道しているような熾烈な競争が起きたことは一切なく、完全な誤報である。また、IR長崎については、コンソーシアムと呼べる組織を組成している企業はまだなかった。

 IR大阪では米国MGMリゾーツ・インターナショナルとオリックス、地元の関西電力や大阪ガスなどの約20社が参加するが、これこそが事業開発のコンソーシアム組織組成である。コンソーシアム組織を組成できない海外カジノ投資企業などの第三者たちは、すべて公募前に撤退した。当然の成り行きである。

 IR横浜の公募前の最終審査候補者は、先日突然表明したセガサミーホールディングスとゲンティン・シンガポール・リミテッドに、スーパーゼネコン3社、綜合警備保障(ALSOK)を含むコンソーシアム組織組成である。ここでも同様の組織組成ができないほかの候補者は撤退するしかなく、熾烈な競争など起こるはずもないのだ。

 IR誘致開発事業は、安倍・菅両政権の擁護者で政治評論家の田崎史郎氏がいうように、第三国の事業者には興味がなく、米国カジノ投資企業だけを対象とした誘致目的の下で施行されたIR関連法に基づくものであり、当時の“安倍・トランプ密約”に忖度した内閣府の“賢い”官僚によってつくられたものなのだ。

 法律上、公募前に水面下でコンソーシアム組織組成を行った事業者だけが有利になるようになっている。このことをメディア各社のジャーナリストはもっと勉強すべきである。1つのコンソーシアムが組織組成されると、それで事実上完了となるのであり、公募による公開入札は成り立たたず、そのほかは撤退するしかないのだ。

 それゆえ、筆者はIR横浜についても、今月の横浜市市長選挙の結果次第でゲンティン・シンガポール・リミテッドは外れ、セガサミーグループは小池都知事と現政権による当初予定の東京築地跡地に移り、再度ラスベガス・サンズを主体とした計画に変更する可能性が高いと説明してきた。

 法律上、地方都市では実行困難であり、北海道、和歌山、長崎の各行政は同様に時の政権に踊らされているだけだ。オシドリは撤退の理由に管轄行政をあげているが、実際は日本政府の意図への理解不足であり、行政先行のIR事業そのものが限界に達したということだ。メディア各社はその原因を報道すべきである。IR整備法は安倍政権時代にやむにやまれず考えられたカジノ関連法であり、地方都市での行政先行の誘致開発事業では能力的に難しく、和歌山も長崎も崩壊までは時間の問題といえる。

 これらの行政機関に誘致開発事業を実行する能力はないことは、今回のコロナ禍における対応でからみても明らかではないか。オリックスの宮内氏もセガサミーの里見氏もこれらを十分に理解したうえで、事前の水面下での作業と行動を進めたのである。大阪は当時の橋下市長と現在の松井市長の能力が高く、すべてを理解して準備し、結果を出している。

 これらのことを十分に理解しているIR福岡の関係者たちが、コロナ禍の収束後にどのようなかたちで表に出てくるか期待している。間違いなく米国カジノ投資企業との連携により、政府の指導に沿うよう。大阪・横浜と同規模のコンソーシアム組織組成を実行するだろう。

【青木 義彦】

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