イーサリアムが価格上昇、ビットコインを将来追い抜くのか(前)
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日韓ビジネスコンサルタント 劉 明鎬 氏
仮想通貨(暗号資産)のなかで時価総額2位のイーサリアムは7月に入って価格上昇を続け、2018年に記録した史上最高値を更新した。イーサリアムの価格はここ2週間で、222ドル(約24,000円)から400ドル(約43,000円)まで75%も上昇し、イーサリアムの時価総額は3,800億ドル(約41兆6,031億円)を超えた。ヨーロッパの投資銀行が1億ドル規模の債権をイーサリアムで発行することを発表するなど、金融機関でもイーサリアムへの関心が高まっている。今回は、イーサリアムが価格上昇をしている理由を取り上げる。
イーサリアムの高騰が続いている
仮想通貨(暗号資産)のなかで時価総額2位のイーサリアムの価格上昇が続き、仮想通貨市場全体が活気づいている。
今年5月には、電気自動車大手のテスラが環境への配慮として、ビットコイン決済を停止することを匂わせたり、中国政府が暗号資産に対する取り締まりを強化したり、米国政府が暗号資産を規制するだろうという観測が流れたりして、暗号資産の価格が一時下落していた。しかし、イーサリアムは7月に入って価格上昇を続け、その価格は3日、史上初めて3,000ドルを上回った。
イーサリアムの特徴と課題
仮想通貨の代表格はビットコインである。イーサリアムは、ビットコインより改善された第2世代仮想通貨であり、ヴィタリック・ブテリン氏 (Vitalik Buterin)という若いエンジニアによって開発された。
ブテリン氏は2013年に当時19才でイーサリアムの設計図に当たるWhite Paper(ホワイトペーパー)を発行し、15年にイーサリアムを一般公開する。イーサリアムは貨幣であると同時にプラットホームであり、他のコインを発行できるコインとして世界の注目を集めた。イーサリアムはブロックチェーン上に取引の内容を記録できるだけでなく、あらかじめ設定されたルールに従って、ブロックチェーン上のトランザクション(取引)や、ブロックチェーン外から取り込まれた情報をトリガーにして実行されるプログラムであるスマートコントラクトを実装した。
スマートコントラクトは、ユーザーのコンピューター上でプログラムが実行され、そのプログラムの結果は再びブロックチェーン上に保存されるため、他のエンジニアが以前の作業に続けて次の作業をすることも可能だ。スマートコントラクトなどを実行させるために必要な手数料である「GAS(ガス)代」が、イーサリアムを検証するマイナーへの補償として必要となる。ところが、イーサリアムは、さらに高い手数料が提示されたトランザクションが優先的に行われるため、ガス代は21年時点で数百円から数千円まで値上がりしており、高騰するトランザクション手数料の削減が課題とされていた。
イーサリアムの需要は旺盛
イーサリアムは「DeFi(Decentralized Finance)」と呼ばれる分散型金融システムのプロジェクトにも活用されており、その需要が伸びている。
ほとんどの分散型金融はイーサリアム上で行われている。たとえば、ユニスワップ(uni)、シンセティクス(SNX)、チェーンリンク(Link)などである。加えて、イーサリアムは、NFT(Non-Fungible Token、代替不可能なトークン)という分野でも注目されている。この2つの市場が急激に成長したことにより、イーサリアムの需要は旺盛に増加している。
(つづく)
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