2024年09月12日( 木 )

韓国は世界の発展途上国のお手本となった~DEVNET INTERNATIONAL・アザーニュース(前)

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DEVNET INTERNATOINAL 顧問 劉 鐘海 氏

 Net I・B-Newsでは、世界の有識者約14,000名に配信しているニュースサイト「OTHER NEWS」(配信言語は英語、スペイン語、イタリア語)に掲載されているDEVNET INTERNATIONALのニュースを紹介している。DEVNETは日本に本部をもつESCOS認証カテゴリー1に位置付けられている一般社団法人。今回は、韓国が発展途上国から先進国に変更となったことに関する記事を紹介する。

元行政大学院院長、延世大学名誉教授 劉 鍾海 氏
元行政大学院院長、延世大学名誉教授
劉 鍾海 氏

 韓国がついに先進国になり、韓国民の長年の夢がついに叶った。国連貿易開発会議(UNCTAD)が2021年7月2日、韓国の地位を発展途上国から先進国のグループBに変更する案件を可決したのだ。UNCTADが1964年に設立されて以来、発展途上国から先進国へと地位が変更された国は、韓国が初めとなる。

 これまで韓国は、アジア、アフリカなど、主に発展途上国を含む「グループA」に属していたが、今回のUNCTADの理事会は、アメリカ、イギリス、日本などの先進国31カ国が属している「グループB」への変更を満場一致で可決した。韓国がグループBに入ることにより、グループBは32カ国となった。グループBに属しているアジアの国は韓国と日本のみだ。

 UNCTADは、発展途上国の工業化と国際貿易の参加を促進しサポートするために設立された国連傘下の政府間機関であり、貿易と開発に関する政策研究と発展途上国を対象とした技術協力などを支援している。加盟国は195カ国であり、韓国は64年3月に加盟した。

 「先進国」とは英語で「Developed country」または「Advanced country」と表現される。先進国ではない国を「後進国(under-developed)」または「発展途上国(Developing country)」と称する。

 一般的に、先進国は経済が高度に発達しており、産業化と経済システムを備えた国を称する。筆者がかつてミシガン大学の博士課程で勉強していたとき、副専攻としてDeveloping Country Economy(発展途上国の経済)を勉強したことがある。その当時は留学生の身分であり、先進国であったアメリカがとても羨ましかった。

 先進国は、豊かで強く資本が多く、生産規模や所得が多い国を単純に意味するのではない。たとえば、国際通貨基金(IMF)が発表した先進経済国の指標をみると、人口は14億人を超えており、国際総生産(GDP)世界第2位を誇る中国や、オイルマネーで1人あたりのGDPが世界のトップレベルのカタールやアラブ首長国連邦などの国は先進国に分類されていない。その他に、多数の考慮する事項があるためだ。

 先進国の基準は、1人あたりのGDP、人間開発指数(HDI、Human Development Index)、IMFで定義される高所得、経済協力開発機構(OECD)国家群や開発援助委員会(DAC:Development Assistance Committee)のメンバーなどである。国連(UN)の人間開発指数(HDI)は、教育指数、期待寿命指数、国民総所得(GNI:Gross National Income)の幾何平均(相乗平均)で算出されるため、公平である。

 先進国という規定に合致する、正確な価値基準や経済発展の程度を客観的に示すことは難しい。ただし、上記に提示したGDP、人間開発指数、生活の質指数(PQLI)などが大きく考慮されている。

 これまで韓国は先進国となることに向けて、絶え間ない努力をしてきた。韓国が歩んできた道を見ると、「漢江の奇跡」と呼ばれる理由を知ることができる。50年、6.25事変(朝鮮戦争)で国が廃墟になった後、53年に韓国の1人あたりGDPは66ドル(約7,254円)に過ぎなかったが、地道な努力をした結果、2020年に3万4,000ドル(約373万円)を達成しており、この間に約510倍となる成長を遂げた。

 GDPも、韓国貨幣基準で1953年に477億ウォン(約45億円)から2019年1,933兆ウォン(約185兆円)と4万倍に増加という偉業を遂げ、世界のGDPの順位でも、1953年の109位から2020年の10位にまで上昇した。その間、1996年には先進国クラブと呼ばれる経済協力開発機構(OECD)に加盟した。もっとも、一部では、OECD加盟はあまりに早いのではという非難の声もあった。

 2009年にはOECD内の開発援助委員会の加盟国になり「援助を受ける国」から「援助をする国」になった。わずか70年の間で援助を受ける国からする国になったのは、韓国が唯一だ。また、韓国はOECDで6番目となる、貿易のための援助供与国になり、農・畜・水産物を輸出していた国から半導体、電子、自動車などの先端製品を中心に輸出する国に変貌し、世界の輸出額第7位の先進国家となったことを、国民自身が誇らしく思うべきであろう。

「漢河の奇跡」:1人あたりの国民総所得推移
「漢河の奇跡」:1人あたりの国民総所得推移

 GDPの規模でも、韓国は世界195カ国のうち10位以内であり、1人あたりの国民総所得(GNI)は主要7カ国(G7)のメンバーであるイタリアを追い越した。今年もG7首脳会議にオーストラリア、南アフリカと韓国が招待された。

 国連が韓国の先進国入りを策定したのは、韓国現代史に大きな足跡を残す事件であり、国際貿易の歴史においても記念となる出来事である。

(つづく)

(後)

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