【IR福岡誘致開発特別連載54】IR長崎、県行政の対応のまずさが~崩壊に導く
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和歌山県行政は26日、資格審査確定後のIRに関わる基本協定を、クレアベスト・ニーム・ベンチャーズ(株)(カナダ)との間で締結したことを発表した。全国で初めての対抗馬であった、中国企業のサンシティ・グループ(マカオ)は、RFP(提案依頼書)前に辞退するかたちで穏便に撤退しており、自動的にクレアベストで決まった。マスコミの報道するような熾烈な競争などは一切起こってはいない。本連載にてすでに説明しているIR大阪、IR横浜などにおいても中華系カジノ企業はすべて公募前に辞退して撤退し、1社独占状態となっており、同様の状態だ。
筆者は以前から、"熾烈な競争"など起こり得ないと説明してきた。“IR関連法は安倍前政権時代に優秀な官僚たちにより作成されたものであり、"建て付け"は一見すると一般的な公開入札に見え、熾烈な競争が起こりそうに見えるが、実際はそうではない。プロのデベロッパーならそのことに気付くはずだ。"施設施行令"に関しても、地方の中堅都市には実行が難しくものであり、公募の主体と見なされていないことが分かる。
日本独特の"護送船団方式"をうまく利用し、米国企業が優先して選定されるように建て付けられているが、親方日の丸のビジネス経験がない、行政機関の組織人にはこのような事情は理解できないだろう。もっとも、これは海外企業には理解しがたい大規模なビジネスの慣習である。マスコミも熾烈な競争が起こるという誤った報道をする。もちろん、公募に入った後に、他の入札参加者を恣意的に外すような、公正ではない措置を講じれば完全に違反である。
競争入札時点の恣意的な選定は違法
今回のIR長崎の資格審査問題は、長崎県行政とそれを取り巻く各関係者が、このRFPの競争入札時において、禁じ手である“出来レース"を実行したことにある。長崎県行政らはこれまで日米経済安全保障問題の重要性をあまり認識しておらず、このことに苦慮した結果、慌てて各中華系企業に辞退を迫ったが聞き入れられなかったため、入札参加の中華系カジノ企業2社に屁理屈をつけ、恣意的に外したために、相手の怒りを買い大問題になってしまったのだ。
RFP前に決着をつけるなり、民間企業にさせるなりしておけば、他の候補地と同様に、この問題は起こらなかった。今後、行政審査の関係者から、この出来レースに関する状況証拠が提出されれば、IR長崎は完全に崩壊するだろう。筆者は必ず出てくると思う。県は資格審査を"公正"に実施していると開き直って頑なな姿勢をとるしかないが、そもそも途中で気付かないまま無理を重ねた結果がこの状態を招いたといえるだろう!
今後この問題は訴訟に発展しかねない。日本の大手企業や地方財界は近年常に"コンプライアンス"を言い訳にするようになっており、IR誘致開発という巨大な案件に参加する者はいないだろう。後背地人口の少ない地方都市では採算はとれず、もとから無理な事業なのである。
近いうち、コロナ禍の収束が見えた時点で、IR福岡誘致開発計画は、間違いなく、著名な米国のIR企業と日本の大手企業の連携という具体性(事業母体の組織組成計画)を帯びたかたちで表に出て来るはずだ。成否を決めるポイント民間企業の公募前の下準備にある。
IR長崎関係者はこのタイミングを理由にして、県行政機関が北海道と同様に本件から撤退すれば、予測される訴訟から逃れるための正当な言い訳ができるかもしれない。
【青木 義彦】
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