2024年09月29日( 日 )

中国経済新聞に学ぶ~ポストコロナ時代の中国転職事情

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上海 イメージ 大手求人サイト「前程無憂」はこのほど、サンプル調査を行い、その結果をまとめた「働く人の転職報告(第1~3四半期)2021」を発表した。

 それによると、21年第1~3四半期(1~9月)の転職活動について、回答者の52%が「今の仕事を続けながら転職先を探す」を選んだ。「裸辞(転職先を決めぬまま退職すること)」を選んだ人は48%で、割合は20年同期に比べて10ポイント低下した。ポストコロナ時代には、勤続年数が1~3年の若者でさえ、より着実な転職を選ぶ傾向が高まっている。

 同報告によると、回答者の約3割(33%)が「21年第1~3四半期に少なくとも1回は転職した」と答えた。勤続年数の構成を分析してわかったのは、転職する人のうち、勤続年数が1~3年の人が4割を占め、3~5年の人(21%)のほぼ2倍に達したことだ。また5~8年、8~10年、10~15年と勤続年数が長くなるにつれて、転職率が低下する傾向が見られた。

 勤続年数1~3年で転職した人の多くが、「頻繁に転職すると転職活動のなかで安定して働けるのかと疑問をもたれる可能性はあるが、キャリアの初期段階で適切なポジションを見つけることがより重要だと考えている」との見方を示した。

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 転職活動について、回答者の48%が「裸辞」を選択し、「今の仕事を続けながら転職先を探す」は51.8%で、20年より10.2ポイント低下した。ポストコロナ時代には、勤続年数が1~3年の若者でさえ、より着実な転職を選ぶ傾向が高まっている。

 転職活動が守りに入るなか、働く人が最初に選ぶ企業の性質も変わってきた。同報告によると、転職先として最初に国有企業を選ぶ人は前年同期比4.5ポイント上昇の36%。民間企業は26%、事業機関は19%、外資系・合弁企業は14%だった。

 調査の結果、最近の転職で最も重視された要因は仕事の安定性だった。国有企業が求職者を引きつける力がますます顕在化し、中国企業の総合的実力が上昇を続けることにともなって、これまで競争力の高い賃金とキャリア発展の機会があることで人気を集めていた外資系企業の求職者を呼び込む力が年々低下している。

 転職先として選ばれる都市を見ると、上海が13%で首位に立ち、次は広州の12%、3位は北京の11%だった。一線都市以外では、重慶、武漢、杭州、蘇州、南京などの新一線都市が上位に並んだ。

 「前程無憂」の「第2四半期賃金調査研究報告2021」で明らかになった27の人気都市の平均賃金と比較すると、転職先として選ばれる都市の賃金レベルは上位にあり、平均賃金は7,397~1万1,389元(約12万6,370円~19万4,575円)の範囲だった。引き続き、賃金レベルは仕事探しに最も影響する要因だ。

 同報告によると、回答者の79%が「今の仕事を見つけるのにかかった時間は3年未満」と答え、このうち在職期間が1年以内の人が3割を占めた。また調査によると、回答者の8割が「最近の転職で仕事を見つけるまでにかかった時間は2カ月未満だった」と答えたという。

 このうち、「半月未満」が36%、「半月以上1カ月」が28%、「1カ月以上2カ月」が16%だった。「6カ月、それ以上」かかった人は1割にも満たなかった。

 興味深いのは、「仕事のキャリアでは35歳までにいくつくらいの仕事を試してみることが合理的だと思うか」との質問に対し、半分以上が「3つから4つ」と答えたことだ。大学を卒業した22歳から働き始めたとすると、1つの仕事の在職期間は少なくとも3年になる。

 しかし、このように答えた人に前の仕事の在職期間を聞くと、3年に満たない人が8割近くに上った。ここから現実と理想の間には大きなズレがあることがわかる。


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