コロナ禍でも活気みなぎる「鉄筋工業界」の現況(2)
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「鉄筋工事は新しい建築方法が出ない限り未来にまで残り、なくならない」と語る(株)宮村鉄筋工業の宮村博良社長に、鉄筋工業界を取り巻く現状と将来展望などについて話を聞いた。
鉄筋工の作業手順とは?
――鉄筋工の具体的な作業手順についてお聞かせください。
宮村博良氏(以下、宮村) 加工図面に従ってさまざまな方法で加工した鉄筋を現場に搬送すると、ここからが鉄筋工の仕事になります。加工済みの鉄筋を施工図に合わせて建築物に取り付けます。
鉄筋の種類に合わせて組み立てる順序があり、難しい作業のため、経験者の職人が指導しながら組み立ててつくり上げていきます。
鉄筋と鉄筋を交差させて組み立てた箇所は、ハッカーと呼ぶ工具で結束線を使って縛り、かご状に編まれた鉄筋が組み込まれます。鉄筋工事は建物の「骨をつくる仕事」といえます。しっかりと結束することによって、建物の骨組みの強度が増して安全性を高めることになります。
――請け負う建設現場が増えれば、職人の数が不足しがちになるのでは?
宮村 重要な点は、鉄筋工事のスピードが建設全体の進行に大きく影響すること。そのため当社でも、熟練技術のある職人を保有するために、常に人材を求めています。炎天下で直射日光を浴びる季節や寒さが厳しい季節に、屋根のない状態で暑さや寒さに耐えつつ、重量のある鉄筋を慎重に運ぶなど、建設現場の環境は過酷なので人材確保にも苦労します。
昨今の建設現場で働く作業員の不足と同様に、仕事の需要があるにもかかわらず、鉄筋工業界でも職人の不足が常態化し、慢性的になっていますから、常に募集しています。
――貴社の従業員数や組織体制についてお聞かせください。
宮村 熊本と大牟田で79人です。そして、当社傘下の下請施工組織として31社があり、各社で雇用する社員の88人を含めると合計167人で業務を請け負っています。これらの作業スタッフが当社の管理者とともに、それぞれの請負現場へ入ります。
そのほか、フィリピンから来日している技能実習生と特定技能を持つ人材も雇用しています。外国人スタッフは20年ほど前から採用し、中国・タイ・フィリピンからの人材を雇用していました。現在はフィリピンですが、今後はウズベキスタン共和国からの人材の受け入れも予定しています。
――職人の人材不足が慢性的となっている要因は?
宮村 まず、建設業といえば「3K」のイメージが今なお払拭されていないと思います。職人の仕事そのものには大きな魅力がありますが、先ほども話した通り、厳しい現場であり、つらい面も多々ありますので、とくに昨今では若い人が集まりにくいと感じています。
求人募集するにも、「残業手当や家族手当などの各種手当」「能力に応じたキャリアアップ」「厚生年金や雇用保険などの完備、週休2日制、有給休暇」などについて、建設業界の下請では、旧態依然とした雇用環境のまま改善が進まない会社も多々あるのが実状です。
ホワイトカラーの会社ならば、これらは当然のように保証されていると考えられます。また、これらの保証がない労働者は家族とともに安定した生活ができません。
(つづく)
【聞き手・文:岡本 公一】
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