『脊振の自然に魅せられて』草原の山、天山へ(前)
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脊振の自然を愛する会の副代表で、ワンゲルの先輩でもあるTに「天山にマツムシソウを見に行きませんか?」と誘ってみたところ、「マツムシソウは遠方まで見に行くほど好きなので、ぜひ行ってみたい」との返事が。
マツムシソウは8月末ごろから初秋にかけて咲く花である。薄い紫色のマツムシソウは、草原に咲く花で脊振山系では自生していない。インターネットで天山(1,046m)におけるマツムシソウの開花状況を調べてみたところ、すでに開花しており、最盛期をやや過ぎつつあるようだ。
ワンゲル OBで脊振の自然を愛する会の主力メンバーに「9月9日(木)は空いてますか?私は天山に行きます」と声をかけたところ、「空いています」との返事がきた。
ワンゲルの1年先輩の T、1年後輩の3名と筆者を含めた5名で、天山のマツムシソウ観賞の山旅に出かけることにした。脊振の自然を愛する会の女性メンバーSにも声をかける。Sはドラッグストアでパートをしているが、この日は休日だという連絡が事前にきていた。その後、Sから「太極拳の仲間と天山に行くことにしました。現地で会いましょう」という連絡がきた。
今年の8月、9月は雨の日が多かった。9月9日(木)の天気は曇りの予報である。いつもの集合場所である野河内渓谷の無料駐車場に午前8時に集合。コロナ対策のために密を避け、車2台に分乗し、天山に向けて出発する。
カーブが多い旧国道263号線を走り、三瀬峠を通って佐賀県の北山ダムから古湯温泉上部の広域林道へ、そして、天山スキー場の手前から右折して天山林道へ入る。天山林道を車で10分ほど走り、予定通り午前9時30分に天川駐車場に着いた。
天川駐車場には避難小屋もあり、トイレも完備されている。天山山頂までは歩いて20分の場所に位置し、シニアの登山者にとって便利な登山口である。ちょうど女性会員Sも着いたばかりだった。20台ほど停められる天川駐車場だが、早朝ということもあり、駐車しているのは我々の車3台のみだった。
登山道は朝露を含んだススキなどの草で覆われていた。歩くと草が体に触れ、朝露が衣服を濡らす。この日はスマホによる動画撮影を試みた。石ころだらけの山道を最後尾から仲間の後を追う。
天山は360度草原が広がっており、視界を遮る木々もない眺めがすばらしい山である。古くから佐賀県の霊峰として崇められ、冬は雪深かったのだが、近年は温暖化の影響で、積雪があまり見られなくなっている。
登るにつれ視界が広がってくる。真下に駐車場、九電の天山発電所のダムが見える。15分も歩くと、逆光に照らされた高さ10mはあろうかという大きな石碑が姿を現した。
石碑に着くと、東に有明海に注ぐ筑後川が見える。そして、どんよりとした有明海が雲の隙間に見え隠れしていた。天気が良いと眼前に雲仙岳や長崎県と佐賀県の県境に佇む多良岳を望むことができる。西に目をやると曇り空のなか、我々の活動拠点である脊振山系の長い峰々が連なって見えた。
山頂の道標に着くと仲間たちが集まっており、女性会員Sの仲間4人もいてにぎやかだった。記念の集合写真を撮った後、それぞれがマツムシソウ観賞に赴いた。
(つづく)
脊振の自然を愛する会
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