KМバイオ、九州発のコロナワクチンをブースター接種用に開発
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明治ホールディングス傘下のKМバイオロジクス(株)(熊本市北区)の永里敏秋社長は27日、都内で開かれた第8回日経・FT感染症会議に出席し、開発中の新型コロナ感染症の予防ワクチン「KD-414」について厚労省に条件付き早期承認を求めつつ、11月中に3回目接種(ブースター接種)向けの治験を開始すると表明した。
「KD-414」は季節性インフルエンザワクチンと同様、ウイルスを無毒化した不活化ワクチン。全国の12医療機関で18歳以上の健康な成人2,000人を対象に、今22日に第2、第3相治験(中期治験)を開始した。
福岡市と熊本市で実施した210人が対象の第1、第2相治験では、日常生活に支障のある副反応例は回復性発熱の1人だけだった。有効性は、用量依存的に中和抗体陽転率と中和抗体価の増加が確認され、20歳以上40歳未満では中和抗体陽転率が100%だったという。
永里氏は「実薬(既存のコロナワクチン)対象の第3相治験はアジアの感染が進んでいる国で実施する予定だが、結果を待っていると時間がかかる。すでに始めている国内の第2、3相治験と、11月中に開始するブースター用治験の2つの結果を合わせて、3回目の追加接種用として条件付き早期承認を取得できないか、規制当局にお願いする」と述べた。ブースター用の治験は3,000人規模を想定している。
条件付き早期承認制度は、通常の検証治験に長時間を要すると認められる場合、別の治験で一定の有効性と安全性を確認し、販売後の有効性・安全性の再確認を条件に承認するというもの。2017年10月に創設された。
さらに永里氏は、12歳未満を対象とする小児用ワクチンの治験を来春開始することも明らかにした。ワクチン未接種の18歳未満から始めて用量を調整しながら開発し、最終的には生後6カ月の乳児まで拡大可能か検討する。
同会議には、国産ワクチン開発でトップを走る塩野義製薬(株)(大阪市中央区)の手代木功社長も出席し、第2、第3相治験中のコロナワクチン「S-268019」が12月末までに最終段階の第3相治験に移行、来年3月末までに実用化を目指すと説明した。
「S-268019」は、昆虫を宿主にする「バキュロスウイルス」に外来遺伝子を組み込み昆虫細胞に感染させて、目的のタンパク質(コロナウイルスのSタンパク質)を発現する「遺伝子組み換えタンパクワクチン」。
体内に注入するコロナウイルスの抗体になるSタンパク質をワクチンの生産工場(体外)でつくる点が、脂質に包んだSタンパク質の遺伝情報を体内に注入しウイルスが体内に侵入した際の抗体になるmRNAと異なる。
【南里 秀之】
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