2024年12月22日( 日 )

【IR福岡誘致開発特別連載63】IR長崎「崩壊するべくして崩壊」

記事を保存する

保存した記事はマイページからいつでも閲覧いただけます。

印刷
お問い合わせ

佐世保港 イメージ 先日、佐世保商工会議所の会頭・金子卓也氏から、会員宛てに案内状が出された。
 内容は、現地商工会会員を中核として本件IRの落札者「カジノ・オーストリア・インターナショナルジャパン」と一致団結して、明るい未来をつくりましょうという主旨である。誠に健気な姿勢である!

 しかし、残念ながら、本件IRの主体者である、長崎県行政とその関係者は、この巨大事業の本質をいまだに理解していない。仮に理解していたとしても政治生命に関わるから今さらやめられないのだ!誠になげかわしい限りである!

 筆者は、当初から指摘してきたが、いよいよ「最後の時」を迎えてしまったようだ。先のRFP(事業者選択)では、国際政治環境に疎く、遅ればせながら「日米経済安全保障問題」に気づき、中華系2社を恣意的に外し、やむを得ず、ヨーロッパの小さなカジノ企業を選択するしか方法がなかった結果、現在の状況を迎えている。

 また、地元マスコミ各社も、この巨大なIR事業の報道経験がなく、理屈もよくわからないため、的はずれでポイントがずれた報道に終始している。

 要するにこの時期になっても、いまだに事業母体(コンソーシアム)の組織組成計画がないのだ。本来なら、RFPの時点で、組織組成案を示したうえで事業者選択がなされるべきだった。

 「IR大阪」のように国内メジャー企業・オリックスと米国 MGMが先行し、地元財界の関西電力や大阪ガスなどの協力も得て、RFP前に本件開発事業の組織組成が完了していなければならない。

 コロナ禍を経験したにもかかわらず、現在のハウステンボスに年間840万人を集客するという、とんでもない計画の達成のために4,500億円もの金額を誰が投資するのだろうか。また、習近平政権の「海外カジノ観光規制」により、あてにしていた中国人富裕層は来ることができない。

 佐世保商工会議所の皆さんが、これらを理解したうえで、「明るい未来をつくりましょう」と言っているのなら、誠に愚かな「夢」を見ていると言わざるを得ない。最初から、膨大な税金の無駄遣いをし、政治家のパフォーマンスに振り回されているだけなのだ!

 また、過去に債務超過による経営危機に陥ったハウステンボスに、巨額な資金貸付と投資をする金融機関が果たしてあるというのか。地元金融機関の手におえる話ではなく、政治家と行政機関の「武士の商法」による愚かな結末を迎えることは間違いない。

 近い内に、福岡市都市圏を中心とした、大阪IRに負けない規模の誘致開発案件が登場してくるだろう。以前から指摘しているように、本件事業の可能性は、東京都中心の関東都市圏か、大阪IRの関西都市圏ならびに福岡市中心の北部九州都市圏の3カ所しか採算が合わないのである。

【青木 義彦】

(62)
(64)

関連キーワード

関連記事