仮想通貨の課税に対して強まる反発(前)
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日韓ビジネスコンサルタント 劉 明鎬 氏
大きく成長する韓国の仮想通貨市場
韓国で仮想通貨に対する若者の関心が高まるなか、韓国政府は来年1月1日から仮想通貨の売買差益に対して課税する方針を打ち出した。しかし、一部専門家と業界からは、「時期尚早である」として反発が高まっている。
仮想通貨とは、国家やその中央銀行によって発行された法定通貨ではなく、ブロックチェーンという仕組みによって管理される「暗号資産」で、その差益を狙った売買が若者を中心に急激に広がっている。仮想通貨は本質的な価値をもっているわけではないので、「すぐに消滅するだろう」との指摘もあったが、仮想通貨市場に機関投資家の資金などが継続的に流入したことにより、仮想通貨価格は堅調に推移している。
仮想通貨の代表格である「ビットコイン」の価格は現在7,600万ウォン前後で、年初の価格より2倍超上昇している。「ビットコインETF(上場投資信託)」が米国証券取引所に上場したことにより一時、ビットコインの価格は8,000万ウォンを上回ったこともある。また「イーサリアム」は、ここ最近、価格の上昇が続いている。筆者が初めてイーサリアムを購入したのは昨年10月頃で、価格は20万ウォンほどだった。しかし、本日(8日)の価格は560万ウォン超である。
最近は、法定通貨との混同を避けるため、仮想通貨には「暗号資産」という名称も使われるようになっており、仮想通貨市場は1つの金融資産市場として定着しつつある。実際、20代と30代を中心とする若者は仮想通貨に対する関心がほかの世代より高い。不動産や株式より投資しやすく、短期間に何倍という収益が期待できる市場は仮想通貨市場ぐらいだからだ。仮想通貨は株式市場と違い、24時間取引ができることもメリットだし、取引の精算がリアルタイムでできることも魅力といえるだろう。
政府は課税強硬の構え
仮想通貨価格の高騰により、仮想通貨関連詐欺や被害も増えており、政府は神経を尖らせている。仮想通貨市場が大きく成長し、韓国で仮想通貨に投資する人は約700万人、1日の取引高が20兆ウォンを上回るにようになったため、韓国の国税庁と企画財政部では仮想通貨所得に課税する方針を固め、来年1月1日から課税を実施しようとしている。しかし、与野党の議員と業界からは、「課税するためのインフラが整備されていないなかで、課税に踏み切るのはいかがなものか」として、課税を1年猶予するべきだと主張している。
仮想通貨所得とは、仮想通貨を譲渡するか、他人に貸すことによって発生する所得で、株式投資による所得と違って、「金融所得」にならず、くじ引きなどで発生する所得と同じように、「その他の所得」に分類された。控除額は250万ウォンで、韓国国内の居住者に対しては基本控除額を除いた金額に税率20%が適用され、税金が課される予定である。仮想通貨に投資をした投資家は来年1年間、仮想通貨取引の損益合計額を計算し、その税金を23年5月に収めることになる。仮に来年、仮想通貨の取引で1,000万ウォンの売買益が発生した場合、約165万ウォンの税金が課される。
(つづく)
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