ヨドバシカメラ、2代目藤沢和則社長による「打倒アマゾン」宣言(後)
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創業者にとって、最大の課題は事業承継だが、失敗例も少なくないため、悩みは尽きない。現在、注目を集めているのが、(株)ヨドバシカメラの2代目社長・藤沢和則氏。ネット通販の巨人・アマゾン打倒を宣言した。和則社長は、創業者である父親・藤沢昭和氏を超えることができるか。
都心と郊外の需要逆転が起き、家電量販店の決算は明暗わかれる
直近の決算を基に、ヨドバシカメラと比較してみよう。
大手家電量販店の2021年3月期決算は、新型コロナウイルス感染拡大にともなう巣ごもり需要やテレワークの普及で、パソコンや大型テレビ、冷蔵庫などの販売が好調だった。1人10万円の特別給付金の支給も追い風となった。
しかし、郊外と都心における需要の逆転現象が起きた。それが業績の明暗を分けた。郊外の大型店は、おうち時間にともなう新しい需要が突如として発生したことで潤った。
対して、駅前の一等地に巨艦店を展開するヨドバシカメラは来店客が増えないという深刻な問題を抱えた。経常利益は減益となり、8%超を維持していた売上高営業利益率は7%を割った。それを補って快進撃を続けているのがネット通販である。
ヨドバシカメラのEC売上高は2,221億円に拡大
ヨドバシカメラの2021年3月期におけるEC(電子商取引)売上高は前期比60.3%増の2,214億円だった。通販市場唯一の専門紙(株)通販新聞の「月刊ネット販売」が実施した売上高調査「ネット販売白書」で明らかになった。
全社売上高は同3.8%増の7,318億円。全社売上高に占めるEC売上高比率は30.3%。2020年3月期に比べると10.7ポイント増加した。
日本市場におけるEC売上高のトップはアマゾン・ジャパンの2兆1,852億円。ヨドバシは2位。アマゾン以外で、売上高を突破したのはヨドバシが初めてと報じている。
「打倒アマゾン」最初のハードルはネットと実店舗を合わせた売上高1兆円
家電量販店は、少子高齢化や人口減などにともない市場が縮小に向かう中、「脱家電」「非家電」をキーワードに新業態の店舗を模索する動きが加速している。小売大手にとってネット通販の強化は大きな課題だ。それに先行しているのがヨドバシカメラだ。
家電量販店では、駅前カメラ系のビックカメラ(EC売上高1,487億円)が激しく追い上げる。郊外型大型店のEC売上高は、上新電機が717億円、ヤマダデンキ700億円にとどまる。
ネット通販に強みをもつヨドバシカメラだが、実店舗での買い物を控える消費者も出てきており、好調のネット販売を実店舗の営業にどうつなげるかが課題になっている。実店舗とネット販売が十分にかみあい強大な推進力を生み出せば、「打倒アマゾン」が一段と鮮明になる。最初のハードルが、ネットと実店舗を合わせた売上高1兆円の達成だ。
(了)
【森村 和男】
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