2024年12月26日( 木 )

【衆院選2021】自民・福岡の独占崩れる 立憲民主党の県連代表候補に城井崇氏(後)

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 10月31日に投開票された第49回衆議院議員総選挙。14日の解散から投開票までわずか17日の戦後最短となった選挙戦。福岡は自民党の独占が崩れた。注目された投票率は55.93%(共同通信社調べ)と、戦後3番目に低い数値に落ち込んだ。

【9区】無所属・緒方氏はドブ板選挙徹底で勝利

無所属で当選をはたした福岡9区の緒方林太郎氏
無所属で当選をはたした福岡9区の緒方林太郎氏

 県内11の小選挙区で最も劇的勝利を収めたのが、八幡西区などを中心とする9区だった。2017年選挙で小池劇場に巻き込まれるかたちで落選した民進党(当時)の県連代表だった緒方林太郎氏と、自民党前職の三原朝彦氏、さらに共産党のベテラン真島省三氏を加えた三つ巴の戦いは、無所属の緒方氏が、強固な組織票に支えられた2候補を抑えて勝利した。

 緒方氏は、県立東筑高から現役で東大法学部に進み、最年少(当時)で外交官試験に合格した経歴の持ち主。こうした経歴に加えて緒方氏の直截(ちょくせつ)な物言いが周囲からは「頭が高い」(三原事務所の関係者談)とみられることも多く、典型的な「味方も多いが、敵も多い」タイプとして知られてきた。しかし、政界引退も考えたという4年前の敗戦を経て、改めて自身の政治理念に向き合うとともに2,000日超の辻立ちのなかで地域課題に向き合う姿勢をアピールし続け、“人物に奥行きが出た”と評されるほどに地域からの信頼を得てきた。

 情勢調査でも選挙前から「緒方リード」の状況を維持し続け、9区の投票率は前回から1.5%ほど下落して政党候補が有利だったにもかかわらず、緒方氏が前回より約1万3,000票を上積みして逃げ切った。各種調査からは自民支持層からも一定の支持を得ていたことがわかっており、“政治家・緒方林太郎”が地域から幅広く期待を集めていることがわかる。

 緒方氏は11月4日、無所属の衆院議員4人とともに会派「有志の会」を結成し、衆議院に届け出て受理された。所属議員は福岡9区の緒方氏のほか会派代表の吉良州司氏(大分1区)、茨城1区の福島伸享氏、京都4区の北神圭朗氏、徳島1区の仁木博文氏など、過去に民主党などに所属していた5人。

【10区】城井氏は支持が浸透、力強さも

立憲民主党の城井崇氏は4回目の当選
立憲民主党の城井崇氏は4回目の当選

 10区は前回選挙で小選挙区では自民・山本幸三氏が勝利し、立民の城井崇氏と共産党の田村貴昭氏も復活当選する「候補者全員当選」の珍しい選挙区となった。共産党は今回の選挙で前職の田村氏を比例に回し、街頭演説では小選挙区での城井氏への投票を呼びかけて側面支援した。

 自民党は今年1月31日の北九州市議選で公認候補22人のうち6人が落選したことで組織力が低下しており、前回から約5,300票を上積みした城井氏に終始、独走を許した。城井氏はこれまで小倉北区など都心部での弱さがネックとなってきたものの、今回の選挙では労組などの組織票だけでなく幅広い層に支持が浸透し、03年の初当選から約20年を経て力強ささえ見せつける勝利となった。

 立憲民主党福岡県連では、代表を務めていた山内康一氏(福岡3区)が落選したのにともなって12、13日の常任幹事会で新代表が選出される見込み。11日時点で、後任代表には城井氏が選ばれるとの見方が大勢となっている。

(了)

【総選挙取材班】

(前)

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