露店商は商売を超えた文化の1つ 祭りを盛り上げ郷土を愛する心を育む
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(一財)筥崎宮露店保存会 代表理事 石橋 一海 氏
露店商約400店によって設立された
露店の発展、祭礼の隆盛を目的とする団体筥崎宮放生会に来られる人たちに喜んでもらえること。筥崎宮が未来永劫存続していくこと。そして露天商がしっかりと利益を得て食べていけること。この3つを実現できる環境を整えるため、あらゆる努力を惜しまない。そう語るのは、(一財)筥崎宮露店保存会の理事長石橋一海氏だ。
筥崎宮露店保存会は、2010年、筥崎宮の参道に出店する露店商約400店によって設立された。露店の維持や発展、祭礼の隆盛を目的としており、行事では出店場所の指定・配分や安全衛生、労務管理の指導を行うが、今それを中心になって仕切るのが石橋氏だ。いわばテキ屋の親分といった立ち位置だが、同氏の経歴はちょっと違う。
「電気工事を通じて30年ほど前から放生会の露店商に関わっていましたが、保存会の法人化の際に理事に就任しました。その後代表理事就任の打診があり『お役に立つことがあるならば』と3代目代表理事をお引き受けしたわけです。私は露店商ではありません。だからこそ公平な立場で会の運営にあたれると考えています」。法人化にあたっては、あらゆる方面からコンプライアンス・チェックを受け、その健全性を担保しているという。また、参拝客の安全を第一に、消防署の講習受講やガス工事会社の巡回など安全にこれまで以上に注意を払っているそうだ。
2022年は露店の賑わいが感じられる 日々をきっと取り戻せる
筥崎宮露店保存会が守る露店商は、たんなる商売の枠を超えて、我が国の貴重な文化の1つだといえる。祭りを盛り上げるとともに、人々の郷土を愛する心を育む存在だ。SDGsの精神に照らすなら、住み続けられるまちづくりに合致する。
しかし、新型コロナの影響により、筥崎宮の催しは2年連続で神事のみで、露店の出店はすべて中止となった。「2022年は以前のように開催できると信じていますので、着々と準備を進めています。露店の賑わいが感じられる日々をきっと取り戻せるでしょう」。
さて、「かずみ」と読む珍しい名前に話題がいくと、人懐こい笑みとともに、「一にトをつけたら何と読む?」と問いかけてくる同氏。つまり自身の名前の由来である。一にトを足せば、それは「上海」となる。戦前に上海で生まれた同氏は、戦後朝鮮半島を釜山まで歩いて縦断し、そこから博多まで命からがらに引き揚げてきた経験をもつ。極めて幸運だったのだろう、引き揚げが少しでも遅くなっていれば、残留孤児になっていたという。その後に立ち上げた事業でも、さまざまな困難を乗り越えてきた強運と胆力の持ち主だ。筥崎宮の発展に大いに貢献してくれることだろう。
<INFORMATION>
代 表:石橋 一海
所在地:福岡市東区箱崎2-25-1
設 立:2010年
TEL:092-633-3355
<プロフィール>
石橋 一海 (いしばし かずみ)
1942年上海生まれ。幼少期に引揚げて八女に。高校卒業後、小野田セメント(株)に入社。25歳で退社し「角栄計装」を設立。72年、退社し「石橋電業社」を設立。88年、同社の事業を引き継いだエヌビーエス(株)に入社。92年、代表取締役社長就任。2018年、退任し顧問に。現在、(株)JEC代表取締役と筥崎宮露店保存会理事長を兼務。関連キーワード
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