企業と企業、人と人とが結ばれて、事業は次の時代へ続く（前）

（株） Kアライアンス・ジャパン　代表取締役社長
岡 崇史 氏

「ご縁」は明確な問題意識としかるべき自己投資から

　川邊会長と出会ってから今年でちょうど20年になります。会長は当時、西日本銀行の専務を定年退職され、グループ会社の「西銀経営情報サービス」（現・（株）NCBリサーチ&コンサルティング）の社長を務めておられましたが、そこが主催するセミナーに参加させていただいたことがご縁となりました。

　当時私は24歳。新卒で入社した地元福岡の企業で営業マンをしていました。入社2年ほどといえば、自分はずっとこのままでいいのだろうかと、誰もがふと立ち止まって考える時期でしょう。私も例に漏れず、そう自問する日々でした。とはいえ、話ができるのは30人ほどの社内の決まった面々ですし、自分から行動を起こさない限り他社の方々の話を聞く機会はほとんどありません。とにかくいろいろな人と接してみたいという思いから、さまざまな会合やセミナーに足を運ぶようになりました。その1つが西銀経営情報サービス主催のセミナーだったんです。

　オリックスの宮内義彦氏のような東京の大企業の名だたる経営者さんたちが一堂に会し、1日かけて話をしていただくという豪華なセミナーでした。参加費は1回4万円ほどだったでしょうか、参加者も企業の名前で申し込んだ、年齢も高く肩書きも立派な方々ばかり。そんな場に、20台前半の個人「岡崇史」が参加するわけです。営業マンならではの思考回路として、ひょっとして顔を覚えてもらえるかもなんて思惑も働いていたかもしれません（笑）が、とにかく高額だからこそいい話が聞けるにちがいないと期待して、何度も通いました。

　そんな私に目を留めて下さったのが、当時川邊会長の秘書を務めておられた方でした。折しも会長が『アライアンス・パワー』（編集注：梓書院、2002年）をお書きになり、中小企業の提携を通じた経営強化を提唱なさった時期。銀行時代のお客さんをはじめ、贈呈先を選ぶ段になって、私のことを会長にお伝えされたようなのです。セミナーに熱心に通われている若い方がおられます、ご本をお送りしたらきっとお喜びですよ、と。ご本が届いてびっくりしましたね、まさか私になんて、夢にも思いませんでしたから。拝読後、お礼を兼ねてお目にかかりたいとご連絡を差し上げました。そして、西銀経情サービスの会議室で、会長と一対一でお話しできる機会を得られたというわけです。

未来を考えるなかで訪れた出会い 多業種にまたがる知見を求めて

　こんな風にお話しすると、私が何か特別な、意識の高い若者だったかのようにいわれることもありますが、当時の私としては、あくまで自分と自分の所属する会社の未来を考えるなかで自然に出てきたアクションでした。当時勤めていたのは建設会社向けにISOのコンサルティングを行う企業。要は、「単品営業」だったんです。何度も通って契約を取り、社長さんと関係を構築しても、半年ほどコンサルタントが出向してISO取得を支援したらそれで終わり。そもそもISOを取得したい企業は業種も数も限定されていますので、ほどなく営業先がなくなってしまうのは目に見えていました。

　世の中にはどんな仕事があるのか、各業界で「トップ営業マン」と言われている人たちはどんな活躍をしているがゆえにそうなのか、知りたいと強く望みました。でも、どの業種に転職しても、いろいろなことがわかるようになるまでにはやはり2、3年かかりますし、わかることも結局その業界のことに限られる。そう思い悩むなかで出会ったのが川邊会長だったんです。私は当時、会長の銀行マン時代もそこで培われた大きな「人脈」のことも何も知りませんでしたが、企業間のマッチングに取り組まれていると知ってこう直感しました。「この方の下で何年か勉強させてもらえれば、いろいろな業種のいろいろな営業をいっぺんに見ることができる」。この考えは私を強く惹きつけました。こうして川邊事務所への入所を決意したのです。

（つづく）

【文・構成：黒川　晶】

＜COMPANY INFORMATION＞
代　表：岡　崇史
所在地：福岡市中央区大名2-4-19
設　立：2005年9月
資本金：300万円
ＵＲＬ：http://k-alliancejapan.co.jp