2024年11月29日( 金 )

これまでにないお米選びの楽しみ 100年後もおいしいお米のある生活を

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(株)カネガエ 代表取締役社長
 鐘ヶ江 貴光 氏

一歩先ゆく「味の見える化」

(株)カネガエ 鐘ヶ江 貴光 氏
(株)カネガエ
代表取締役社長 鐘ヶ江 貴光 氏

    福岡八女の地で「真心込めておいしいお米と感謝の気持ちをお届けする」という創業精神のもと、1979年から米穀集荷業で培った経験とともに業績を拡大してきた(株)カネガエ。2013年に異業種からの人材登用により事業承継を行った同社は、新たに代表取締役に就任した鐘ヶ江貴光氏が原価の積み上げから着手し、衛生管理の国際基準「HACCP」を取得して生産管理の見える化を導入した。各工程で必要な人件費や電気代などの原価が明確に示されたことで社内にコスト意識が芽生え、経営の合理化が図られた。

 米穀集荷業者は生産者が収穫した米を集荷し、精米加工を経て卸売業者や小売店に販売する役割を担っている。食の安全性が求められる今、カネガエはつくり手の顔が見えるお米で食卓に安心を届けている。のみならず、食卓をいっそう豊かにするために、同社はさらに一歩踏み込んだ試みを始めた。すなわち、独自の品質基準による「味の見える化」である。

 同社は取り扱うお米の種類や生産地はもちろんのこと、味覚分析の測定結果に基づいた「旨味」「渋味」「旨味コク」「甘み」「苦味雑味」の5つの要素をグラフ化して提示。「旨味が強く、冷めてもおいしい、あっさりした味」といった味の特徴や、「見た目が美しく、冷めてもしっかり甘味が残るのでおにぎり、お弁当がおすすめ」などの提案も消費者に伝える。これにより、従来は店頭で表示されている産地と種類、価格でしか購入の判断材料がなかった消費者に、お米選びの楽しみという新たな地平が開けるのだ。このことは、少子高齢化や食の多様化による主食用米の需要減少のなか、新たな消費行動を喚起することにつながる。

おいしさグラフで「味の見える化」
おいしさグラフで「味の見える化」

ブレンド技術を使えばおいしく低価格

 「味の見える化」の取り組みはまた、食料の安定確保というSDGs目標の実現にも貢献している。一般的に、業務用で単一原料米を一年間通して安定供給することは難しく、仮にできても生産者が違えばその食味は一定でないことも多いという。そもそも米の生産量が減少傾向にあるなか、単一原料米を大量に安定確保するためには高い値段をつけなければならない。そうした問題を解決するのが、「味の見える化」に伴う同社のブレンド技術。これにより、同じ味のお米をおいしく、しかも低価格で提供することができるのだ。特定の産地・品種の高価なお米は特別な時や食べたい時に、日常は味と品質のバランスで、というふうに、使い分けがもたらされるのもいい。

 カネガエはこのように、日本の米食文化を豊かにする取り組みに日々注力している。100年後もおいしいお米のある生活が続くよう、これからもその新たな価値を開拓し、人々を魅了し続けていくことだろう。


<INFORMATION>
代 表:鐘ヶ江貴光
所在地:福岡県八女郡広川町大字日吉1227
創 業:1979年5月
設 立:1993年5月
資本金:1,000万円
TEL:0943-32-1415
URL:https://kanegae.net


<プロフィール>
鐘ヶ江 貴光
(かねがえ たかみつ)
1972年11月、福岡県大川市出身。八女工業高等学校を卒業後、上内電気(株)勤務を経て2013年3月に(株)カネガエの代表取締役社長に就任。

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