「前例のない速さ」~世界中で急拡大するオミクロン株(後)
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日韓ビジネスコンサルタント
劉 明鎬 氏オミクロン株にワクチンの効果は?
オミクロン株のような変異株が発生した場合、既存のワクチンの効果はどうなのかについて注目が集まっている。変異株最大の問題は、ワクチンで生成された抗体が変異株に対して効果がなくなるかもしれないという点だ。現在、オミクロン株に対する十分なデータはなく、データの収集・分析が進められている。既存の代表的ワクチンメーカーの一つであるファイザーが、3回接種すればオミクロン株でも従来株と同レベルの感染予防効果が得られるという暫定的な実験結果を出しているだけである。また、来年3月までにはオミクロン向けの改良ワクチンが供給できるとの見通しも示している。
改良ワクチンやブースター接種が推奨されているなか、新しい研究結果も報告され、注目が集まっている。新ワクチン開発で最も注目を集めているのは、免疫細胞の一種であるT細胞を利用した技術である。T細胞とは、白血球のなかで生成される細胞で、外部の侵入者に対して抗原を識別し、それを破壊することで、人体を外敵から守る役割を担っている。
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オミクロン変異株により世界は再び危機に襲われるのか(前)既存のほとんどのワクチンは、ウイルス表面のスパイクタンパク質を認識する抗体をつくることになるが、オミクロン株のようにスパイクタンパク質に多くの変異が発生すると、スパイクタンパク質をろくに認識できなくなる恐れがある。そこで、抗原を認識できるT細胞の技術を活用することにより、たとえスパイクタンパク質が変異したとしても、ウイルスが認識できるワクチンを開発しようとしているわけである。
韓国では1日7,000人以上の感染者が
韓国の中央防疫対策本部は15日、新型コロナウイルスの感染者数が過去最高の7,850人となったと発表した。5,000名前後だった新規感染者数がいきなり7,000人台へと急増したのだ。
韓国政府は先月スタートした新たな防疫体制「段階的な日常生活の回復(ウィズコロナ)」を中断して、防疫対策を再び強化することに方針を変更した。ウィズコロナ政策を実施してから45日後に防疫を再強化するようになった理由は、新規感染者数がさらに増えて、手に負えなくなる恐れがあるからだ。防疫強化の内容としては、18日から来年1月2日までの16日間、全国で私的な集まりの人数を最大4人とし、飲食店とカフェの営業時間は午後9時まで、映画館や公演施設などは午後10時までに制限する。これによって飲食店やカフェの売上に深刻な影響を及ぼすことが予想されている。
2年間続いていたコロナ禍で大ダメージを受け、かろうじて踏ん張っていた飲食店やカフェは、年末年始に挽回を期待していたが、今回の防疫強化によって失望が広がっており、飲食店やカラオケ店などにとどめを刺しかねない、深刻な影響があるかもしれない。
ワクチンの接種がかなり進んでいる韓国で、なぜ感染者が急増しているのか。これまで「K-防疫」はすばらしいと思っていただけに、多くの国民は韓国政府の対応に疑問を抱き始めている。
(了)
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