2024年07月16日( 火 )

唯一の日本人経営の日中専業旅行社 時代の変化に応じた商品を提供

記事を保存する

保存した記事はマイページからいつでも閲覧いただけます。

印刷
お問い合わせ

(株)西日本日中旅行社
代表取締役 治田 敏 氏

中国に強みをもつ専業旅行社として

 福岡市には、日中間の旅行を専業とする旅行代理店としては唯一日本人が経営する旅行会社がある。(株)西日本日中旅行社だ。同社代表取締役の治田敏氏は、50年以上にわたり中国と関わってきた。1960年代後半に北九州大学(現・北九州市立大学)中国学科に入学し中国語を学ぶ。当時は日中国交正常化前で「中国関係での就職は思いもしなかった」と振り返るが、72年に日中友好商社の1つに入社。その後(株)日中旅行社勤務を経て89年に西日本日中旅行社を設立、以来、30年以上にわたり、ニーズに寄り添うきめ細やかなサービス提供で、個人・法人を問わず中国に関心を有する日本人顧客から愛されてきた。

(株)西日本日中旅行社
代表取締役 治田 敏 氏

 同社はそうして中国専門という強みをもつかたわら、顧客の要望に応えるかたちで日本企業の中国視察や東南アジアへの観光なども手がけ、業容を拡大させてきた。2019年には、北九州市を中心にタクシー・ハイヤー事業、路線バス事業などを展開する第一交通産業(株)のグループ傘下に入ることを決断。あいにくその直後に新型コロナウイルスの感染拡大という不運に見舞われたが、同グループの一員としてインバウンド事業でシナジーを生み出す体制は整えてある。

 天安門事件後の西側諸国による経済制裁の時期に設立されたが、治田氏は中国観光は必ず復活すると信じて逆風を乗り切った。その後もSARS、鳥インフルエンザ、反日デモなど、さまざまな問題が日中間の観光事業に大きな影響をおよぼすなか事業を堅持。現在はコロナ後における日中間の人的往来の復活に備えている。

中国企業の日本視察への協力

 治田氏はそのキャリアから現地に多くの知己を有し、中国から日本への渡航に関する相談も多く舞い込む。近年では、中国の業界団体から日本の炭酸カルシウム(建築材料、製鉄工程などで使用)の採掘現場および関連工場の視察要望を受け、その手配を担当した。協力先を探すのに苦労したが、三菱マテリアルの協力を得て、小倉の東谷鉱山採掘場および九州工場(苅田地区)の視察を実現することができた。

 中国側としては、国内の採掘現場の環境を改善するための参考にしたいという考えだったらしく、同視察には希望者が殺到した。現場では受け入れ可能な人数に限界があるため、最終的に50名に制限してもらったが、治田氏はそのとき、中国では環境意識が大きく変わった、いまやこれに本腰を入れて取り組んでいるのだと実感したという。

 中国の環境改善は、いわば川下に位置する日本の環境にとってもプラスとなる。治田氏は日中の環境面での協力について、相互に恩恵をもたらすビジネスチャンスとして捉え、日本側も積極的に参画すべきと訴える。


<COMPANY INFORMATION>
(株)西日本日中旅行社
代 表:治田 敏
所在地:福岡市博多区冷泉町5-32
設 立:1989年8月
資本金:1億円
TEL:092-283-8989
URL:http://www.nnr-fuk.co.jp


<プロフィール>
治田 敏
(はるた さとし)
1949年生まれ。北九州大学卒。貿易会社を経て、日中旅行社に入社。89年の天安門事件を機に(株)西日本日中旅行社を設立。中国を専門に扱う専業旅行社として、長きにわたる中国との交流により、中国への深い見識をもつ。

関連キーワード

関連記事