2024年11月23日( 土 )

『脊振の自然に魅せられて』(番外編)スキーは楽し、インストラクター再び

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スクールの子どもたち(天山スキー場、2018年1月)
スクールの子どもたち(天山スキー場、2018年1月)

 11月に福岡県飯塚市のサンビレッジ茜スキー場(人工芝)に仲間と練習に行った。そこで偶然、知人の女性 Nさんに出会う。彼女は天山スキー場のインストラクター仲間である。

 「やー、久しぶり。教えてよ!」。彼女はスキー歴が長く、私よりもうまい。滑ってみて、私の修正すべきところを教えてもらった。曲がり始めてから最後まで、顔を進行方向に向け続けることが大事と指導してくれた。2度練習すると、見違えるほど楽に曲ることができた。そして優美な滑りへと仕上がった。

仲間たちと(左端が筆者。北海道・キロロスキー場、2018年3月)
仲間たちと
(左端が筆者。北海道・キロロスキー場、2018年3月)

 人工芝スキー場は、ドーム球場の人工芝を山の斜面に敷き詰めたようなもの。30分おきに多数の噴水で水をまき、人工芝を濡らしてスキー板と人工芝の摩擦を少なくしている。そして、滑る前に水性ワックスでスキー板を湿らせる。

 雪上と違って滑りは悪い。それでも滑走の練習にはなる。滑ると人工芝の摩擦でスキー板のエッジが摩耗するため、時々エッジを研ぐ必要がある。エッジを研がないと横滑りして、コントロールできない。板も痛むので、あまり上等な板は使用しない。

 スキーは斜面を落ちて行くスポーツである。スキー板に体を乗せて滑り落ちるのを楽しむ。まっすぐ滑り落ちるとスピードが出る。それを回避する技術を習得しないと、人や木やフェンスに激突する。曲がる、止まるを習得すると、これほど爽快で楽しいスポーツはない。「生涯スポーツ」の時代でもあり、年を重ねても楽しめる。

 12月初め、Nさんから携帯に電話が入る。12月3日、彼女が所用で行けなくなったので、代わりにインストラクターを引き受けてほしいとの内容だった。もちろん、快く引き受けた。

 サンビレッジ茜では、筆者が加入している「福岡スベロー会」の仲間や天山スキー場のイントラクターNさんがここでもインストラクターをしている。すでに Nさんが私を推薦してくれていた。

 3日当日は人工芝に戸惑いつつ、インストラクターとして駆けつけた。スベロー会の元理事長さんが、私の声を聞いて部屋から顔を出してくれた。 私は安堵して事務所に入った。

サンビレッジ茜(人工芝スキー場)。右側がリフト、街並みは飯塚市
サンビレッジ茜(人工芝スキー場)。
右側がリフト、街並みは飯塚市

 北九州の中学生の団体らしい。朝礼が始まり、インストラクターの紹介が始まる。私は「友ちゃんで~す!」と大きな声でマスク越しに挨拶した。受講する生徒の緊張を柔げようと、毎回パフォーマンスを行っている。

 スキー教室を始める。雪上と違って戸惑いを覚えた。スキー板をブーツのサイズに合わせ、ビンディング(ブーツを固定する金具)までやらないといけないようだ。ほかのスキー場なら、すでにセッティング済みである。汗をかき、作業に疲れた。

 スキー教室では、スキーの板が雪の上で滑ることから教えてきた。「あ~スキーとはこんなもんか」と覚えてもらいたいからだ。

 ブーツの付け方、外し方、転び方なども教える。ワックスを含んだ芝のため、緩い斜面ながらブーツだけでも滑る。初めての子どもたちにとっても、「ワー滑る」状態である。

トレーニング中の筆者、噴水で濡れないように
アノラックを着用(2021年11月)。
四角い箱に入っている水性ワックスで板を湿らせて滑る

 指導を始めて思ったのは、生徒たちの運動能力の低下だ。全体的にバランス感覚が悪い。2回目に受け持った小学生も同じであった。外で遊ぶ機会が少なくなったことも関係があるのではと思う。

 だが、生徒たちは素直で、逆にワンパクな生徒がいない。大柄で体重が重い転んだ子を起こすのに苦労した。

 3回ぐらい滑ると慣れてくるので、長さ100mほどのリフトに乗せる。斜面が急になるので危険防止のため、止め方を何度も教え、自ら滑り、止め方を実践する。途中で転んだ子がいると、筆者自ら板を外して斜面を駆け上がり、板を外して引き起こす。

 落ちこぼれもいる。筆者は決してそうした子たちを見捨てない。一所懸命やっているからである。上手下手はある。筆者も下手で、落ちこぼれ同然ながら努力してきたから今がある。

 教室は半日が多い。短時間ながらスキーを体験した子どもたちは、満足した顔をしていた。リフトの上の恐怖でワーワー泣き叫ぶ男子児童もいた。終わりに「ありがとうございました」とお礼を言いにきた子もいた。

 その後、「池田さん、〇〇日は空いていますか?」とスキー場から電話がかかるようになった。「私でよければお手伝いします」と予定がなければ断らない。交通費を差し引くと手元に日当は残らない。

 スキー場まで都市高速を使って1時間30分、疲れも出る。帰りは居眠り運転だけはしないように、カフェイン入りのドリンク剤を飲んで自宅へ向かう。

 自分が楽しくないと、子どもたちも楽しく感じない。スキーが大好きである。スキーを楽しむため、毎日トレーニングを続けている。そして目標は「90歳まで滑る」である。

福岡県スキー連盟・福岡スベロー会会員
脊振の自然を愛する会
代表 池田友行

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