2024年12月24日( 火 )

都市福岡の国際化へ、2022年は攻守強化「元年」(後)

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古くから「商都・博多」として繁栄し、1980年代半ばからは「アジアの玄関口」の位置づけで栄えてきた福岡。今後は国際都市への飛躍が期待される。そのカギを握るのが、世界に通用する金融集団やIRの誘致、それを視野に入れたリゾート開発など。2022年は国際都市化へ向けて、時代の流れをつかめるかどうかが試される1年になりそうだ。

どのようなプロジェクトが進行中か?(つづき)

海の中道 イメージ もう1件は、「海の中道」プロジェクト。地元の人々は駐屯する米兵との交流、隣接居住生活の体験を懐かしみ、愛着を持ち続けてきた。西戸崎で出会った米兵OBたちと現在も交流を続けている。この継続力には頭が下がる。「1960年代、アメリカが一番輝いていた時代をぜひ再現してみたい」という切望感が、地元の生活者たちの間で高まってきた。それが具現化できるところまで近づいている。

 「恋の浦」を選定した事業主側の言葉を振り返る。「後背地に福岡が控えている」ことが判断の決め手の1つになったという話だ。福岡の“原住民”の大半は、「都市福岡の潜在能力に関して無知である」ことに対する意識が薄い。潜在能力があるからこそ、「恋の浦」プロジェクトと「海の中道」構想が連動できるのである。

 それに加え、壱岐の島からクルーザーが押し寄せてくるようになる。玄海灘一帯が一躍、マリンスポーツ、レジャーのメッカに変貌できる。このブームを享受する主役は外国人になるのではないか。繰り返し強調するが、単発のプロジェクトを展開しても一体的な取り組みに転換できることが、都市福岡の魅力。コツコツと積み上げていけば、「国際都市・福岡」のインフラが充実していくわけである。

国際金融都市への挑戦

 やはり、都市福岡の国際化の決め手は国際金融グループの誘致である。福岡市が躍起になって、実現に向けて挑戦していく姿勢にはエールを送りたい。IR反対派は単純にカジノを理解していない。だから「賭博場誘致、絶対反対」と騒ぐ。IRとは金融そのもの。IRの存在するところには必ず国際的な金融機関が支店を設置する。その点がまったく理解できていないようだ。


 当社に寄せられた金融グループ移転の情報を紹介する。

(1)

 イギリスの第一の産業は金融である。EUから脱退したイギリスの金融産業の衰退が懸念されていたが、杞憂に終わった。ポンドの暴落もなかった。ロンドンの国際的な金融力の影響が失われるという見方も空振りに終わった。杞憂をストップさせるために、イギリスの金融関係者たちは新たな策を企て、新たな場所に金融センターを立ち上げた。つまり、ロンドンオリンピック跡地のドックランドに金融センターを立ち上げ、最先端のデジタルを駆使した金融村を登場させたのである。この金融センター立ち上げのノウハウを伝授してビジネスにしようとする動きがあるようだ。マカオの華僑集団がこの策をマスターしている。「福岡に進出できる余地はあるか?」という問い合わせが寄せられている。

(2)

 福岡証券取引所のレベルアップが緊急の課題である。現状の体たらくでは「廃止してしまえ」という声が公然化してくるだろう。台湾のシステム開発集団のつてを頼って聞いてみた(この集団は台北証券取引所の運営システムを構築したという)。「福岡証券取引所の現状の取引回数を何倍に増やせるか?」と尋ねた。「デジタル取引に移行すれば1万倍になる」という率直な返事が返ってきた。素人でも「1万倍の取引が保証されるのであれば影響力は莫大だ」とわかる。さらに、「そのシステムへの投資額はいくらかかるのか?」と聞いた。「投資額を教えれば腰を抜かすよ。レンタルで構わない」と欲のない返事である。「まさしくシステム開発の最先端を走る頭脳集団が世界を変える、変革する」と痛感した。福岡証券取引所が取引高1万倍を達成できれば、この福岡の地で金融産業が大きく羽ばたくことになる。それほど高いハードルとは思えない。

鍵握る緻密な攻守作戦

 民間企業の当社にも、国際化戦略情報が飛び込んでくる。情報量だけではない。具体的に実行段階にある案件も含まれている。今回紹介できなかった関連情報はたくさんある。

 ここで再度、冒頭に出てきた“ジゴロ”に伝えたい。「福岡の潜在能力を認識せよ」と。現在、都市福岡においては、今後半世紀にわたる繁栄のインフラが充実されていることを知ってもらいたい。一方、前述の経営者には安堵感を与えたい。「オフィス空白の悲惨な事態にはならないと思う」と。ただし、緻密な攻守作戦が前提となる。

(了)

(中)

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