2024年12月27日( 金 )

身近な存在になりつつある仮想通貨(後)

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日韓ビジネスコンサルタント
劉 明鎬 氏

韓国でも仮想通貨取引所が法律で認められる

ビットコイン イメージ 韓国では「特金法」の施行により、仮想通貨取引所が政府の許可を得て、正式にサービスを開始することとなった。許可が下りたのは、合計29社である。そのなかでウォンによる入出金ができる取引所は4社のみである。そのなかの1つ、アップビットいう取引所は何と市場の8割ものシェアを占めている。

 昨年までアップビットは、業界2位に甘んじていたが、韓国に再び仮想通貨ブームが到来したなか、アップビットは躍進を続け、1位に上りつめた。アップビットの会員数は前年対比3倍の890万名で、競合他社と比べて圧倒的に多く、1日の取引金額も6兆4,280億ウォンで、ビットサムの1兆5,560億ウォンや、コインウォンの2,460億ウォンを圧倒する。今年の第3四半期までの売上高は2兆7,209億ウォンで昨年の全売上高の16倍となっている。

 アップビットがこれほど成功した要因として、同組織がすでに株式取引アプリを運営した経験があり、それによって蓄積されたノウハウが反映され、とても見やすく使いやすい仮想通貨アプリを提供したことと、提携している銀行がフィンテック分野で優れた技術をもっていて、口座開設の手続きや手軽さなどがユーザーから好評価を受けたことが挙げられる。

 仮想通貨市場が大きく成長したことによって、取引所ビジネスで断トツの1位を達成し、会社の価値は約20兆ウォンという高い評価を受けている。仮想通貨市場は、これから本格化する市場で、海外進出も今後視野に入れているので、アップビットの企業価値は、もっと大きくなるのは間違いない。一方、今回「特金法」が施行される過程で、その間、明確な基準なしに上場させたコインが一方的に上場廃止されたため、被害者が出たことが問題として指摘された。

仮想通貨の課題と躍進

 仮想通貨は中国政府のマイニング禁止措置があった際、また中国恒大集団のデフォルト懸念があった際、さらに各国のよる規制などが発表された際も、どうしても敏感に反応してしまう。それに高騰する手数料の問題、トランザクションの爆発的増加による送金速度の遅延など、さまざまな課題を抱えているのも事実である。しかし、デジタル時代に求められる決済手段として一番ふさわしく、たいへんすばらしい技術であることも事実だ。

 ブロックチェーンの最初の活用分野は仮想通貨であったが、分散型金融、NFTの普及、メタバースの普及とともに、仮想通貨市場もこれからさらに発展していくことになるだろう。仮想通貨に対するネガティブな意見もまだ多いが、それでも仮想通貨は今後確実に私たちの日常生活に浸透していくだろう。

(了)

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