2024年12月22日( 日 )

ゲーム業界の可能性を押し広げるNFTゲーム(後)

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日韓ビジネスコンサルタント
劉 明鎬 氏

既存のゲームとの違い

NFT イメージ    従来のゲームは、ゲーム内で獲得したアイテムを第三者に売ることはできなかった。しかし、NFTゲームの場合は、レアなアイテムやキャラクターを「NFTマーケット」に出品して仮想通貨に変えることができる。

 また、これまでのゲームは、アイテムの獲得にどれだけ費用がかかっていても、そのゲームのサービスが終了すれば、データはすべて消えてしまう。これに対してNFTゲームの場合は、サービスが終了しても、獲得したアイテムをウォレットに保存したり、ほかのNFTゲームに引き継いだりすることによって、半永久的にアイテムを資産として持ち続けることができる。

 NFTゲームのもう1つのメリットは、ブロックチェーンを活用しているため、既存のシステムのようにサーバーダウンなどの心配が無用なこと。既存のゲームでありがちな「チートプレイ」ができない点も特長。従来のゲームでは、コード改ざんなどによる「チートプレイ」がたびたび行われてきた。チートで得た能力で相手のキャラクターが強力になってしまうと、真面目にやっている人にとっては納得できないだろう。

NFTゲームの課題

 1つのゲームをつくるのに10億円ほどかかるのは当たり前の業界だが、NFTゲームについてはゲーム開発の大手企業がまだ参入しておらず、低予算でつくられている。このため、クオリティーは既存のゲームとは比べものにならないぐらい低いのが現状だ。

 NFTゲーム自体が新しい分野なので、十分な法整備が行き届いていない。ゲームでお金を稼ぐことが法律に触れる可能性はある。さらに、仮想通貨が普及しているとはいえ、ゲームをするためにウォレットをつくったり、取引所に口座を開設したりしないといけないことも高いハードルとなっている。

 しかし、NFTゲームはゲーム会社に新しい収益構造をもたらすことから、大手ゲーム会社も興味を示し始めている。NFTゲームはブロックチェーンという新しい技術を使っているため、まだ広範囲を熟知している技術者が少なく、テクノロジー自体も複雑なため、人材育成なども求められる有望な分野になるだろう。

(了)
 

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