謙虚さが世界危機を救う
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人類滅亡一歩手前
まずは人類が謙虚になり、自らの分相応の立ち位置に返ることが重要である。人類繁栄を成し遂げたのは、この1万年の間“たまたま”氷河期のない温暖な気候が続いたことが最大の要因だ。太陽活動が平穏だったからこそ、その影響を受けて地球が人類生存のための住みやすい環境を提供してくれた。それゆえに我々人類は生存できたのだ。しかし人類はこの健気(けなげ)な認識を失ったようにみえる。
「日本沈没」の映画やテレビがリバイバルされて人気を呼んでいるが、人類はいまや日本沈没どころか地球壊滅の一歩手前に立たされている。もちろん、文明が生まれ、そして消滅するのも宇宙の輪廻とでもいうべき神の領域に属する差配なのかもしれぬ。広い宇宙では惑星が絶滅(ブラックホール化)している数の方が多いともいわれるのだから、それも逃れられぬ運命(さだめ)ならば受け止めるしかあるまい。しかし、地球環境が人類存亡におよぶまで悪化したのは自業自得、人類の傲慢さによるものだ。
生活の利便さを求めて発展させてきた先端技術が、極悪人の役回りをするようになった。たとえば台湾をめぐる中国とアメリカの激突は、核弾頭付ミサイルを撃ち合う最悪のリスクも覚悟しなければならない。AI技術の進展は社会生活のすべてを変革した。技術の発達は人間のなすべき作業をどこかに置き去りにさせ、人間が本来有していた能力すら劣化させる危機を孕(はら)んでいる。もはや人間機能の抹殺である。
加えて、大企業は社員の生活を保障しなくなった。これまで大手は、50歳を超えれば年収1,000万円以上の待遇を行ってきた。しかし、すべての社員を厚遇する余裕がなくなったのだ。そこで打ち出してきたのが、「週3日勤務、副業自由」(ただし年収は60%~に抑制)という策。この新たなシステムによって、誰もがプラスに転嫁できるとは思えない。サラリーマンの生活は安定感を喪失してしまうだろう。
ある画家の健気な仕事ぶり
50年にわたって抽象画に打ち込んできた70歳手前の画家が、焦燥感を募らせていた。昨年、ある画商に「世界的規模での作品の値付け」に関する相談をしたところ、画商は「まず、最初の買主はおそらく中国の富裕層になる」と切り出した。「従って、画風は抽象画に日本の特性をふんだんに取り入れてください。それと、絵画は中国人が好む縦長に描いてください」との助言だ。画商はさらに現金100万円を画家に渡したうえで、「心配しないで創作に専念してください」と続けた。昨年12月25日のクリスマスのことであった。
年が明けて8日夕、この画家から電話がかかってきた。「久しぶりにお金のことから解放されて絵の具などを仕入れた。制作に専念できたので大作を20枚描くことができた。1日15時間、とにかく集中して描くだけの正月だった」とのこと。「現在、5枚を額装に出した」とうれしそうに話していた。この言葉を聞いて、涙が出る思いだった。健気な人である。ここで悟った。「人類の半分でよい。その方々が自然体で己のビジネス人生を健気に描き続けていけば、人類の滅亡はあり得ない」と。
先ほど、サラリーマンの生活が不安定になると述べたが、今回紹介した画家のように一心不乱に打ち込める特技がないと、この世知辛い世の中から淘汰されかねない。謙虚に生きよう、それが2022年を迎えるにあたっての提言である。
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