2024年11月24日( 日 )

紆余曲折を経て百道浜にプリンスホテル建設

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ホテル建設予定地
ホテル建設予定地

 (株)プリンスホテル(東京都豊島区)が福岡市早良区百道浜に新たなホテルを建設することがわかった。建設予定地は福岡タワー西側、現在は駐車場として使われている約3,900m2の土地。

 この土地は2006年10月、福岡市が「シーサイドももち開発計画公募要綱」で公募を行い、SBIホールディングス(株)(東京都港区)が買主に決定し、07年5月に土地売買契約を締結。その後、SBIホールディングスが事業会社として特定目的会社・百道浜プロパティ(東京都港区)を設立し、同7月に買主を移転している。

 当時を良く知る関係者によると、「当初は別のホテルの建設計画があったが、リーマン・ショックの影響で頓挫してしまった。その後もいくつかホテル建設の話が持ち上がったが、それもかたちにならなかった」という。

 当初、開発の指定期日は土地の引き渡しから3年以内とされ、指定期間は所有権移転から10年間、同地に対して10年間の買戻特約が設定されたのだが、09年から15年までの間に実に3度の指定期日延長が行われている。

 10年7月、百道浜プロパティがオペレーターとしてメドをつけていた業者の親会社が民事再生により履行不能状態となったため、13年3月31日までの指定期日延長を申し入れた。しかし、このとき、百道浜プロパティは今後の見通しが立たないことから、本件事業から撤退するのが賢明と判断して福岡市に撤退を申し入れた。しかし、市担当者による事業継続依頼があったことから、指定期日を延長して再度、開発に向けて動き出した。

 その後、百道浜プロパティはホテルオペレーターを探したが、不動産市況の低迷の影響もあり、12年7月に16年3月31日までの2度目となる指定期日延長を申し入れ、福岡市からも了承された。

 3度目の指定期日延長申し入れは15年春。このときも前回同様、17年3月まで指定期日延長を市に申し入れ、了承されている。

 事態が急展開したのは17年のこと。福岡市が「契約締結から10年が経過しようとしているにも関わらず、進展がない」として、百道浜プロパティに対して「土地売買契約の解除」を告げたのだ。百道浜プロパティは、「過去に撤退を申し入れた際、『何年かけても構わない。事業化に取り組んでほしい』といった旨の要請をしてきたのは福岡市の方であり、対応に納得がいかない」として、福岡市を相手取って訴訟を提起。福岡市も土地所有権の明け渡しを求めて訴訟を起こしていた(19年に和解)。

マリゾン
マリゾン

    前述の関係者は、今回のプリンスホテルによるホテル建設について、「ホテル建設予定地周辺には、これまでヒルトン福岡シーホークぐらいしか大きなホテルがなかった。選択肢が増えるのは喜ばしいこと」とし、「今回のホテル建設が、福岡タワー、マリゾン周辺のさらなる活性化の起爆剤になることを期待している」と語る。

 ホテルは24年着工、26年3月の開業を目指している。

【新貝 竜也】

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