【どうなる久留米市?!】「剣生と新五」それぞれ1人の政治家として 原口剣生
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福岡県議会議員 原口 剣生 氏
(自由民主党福岡県支部連合会 会長)県連会長としての筋を通した
──保守分裂となった久留米市長選。弟さんが立ったということ、さらに自民党県連会長としても難しい立場。選挙前には「久留米市長になりたがっている新五さんを剣生さんが無理に抑えている」という噂も出回っていました。実際はどうだったのか。
原口剣生氏(以下、原口剣生) 新五さんが久留米市長選に出たいという話は、前回、大久保さんが勝った選挙のときにも聞いていました。そのとき私は県連会長でもありませんでしたし、新五さんが市長を目指していることは昔から知っていましたので、まず問うたのは「同じ会派の市議会議員の先生はどう思っているのですか」ということです。ここが同調しないと出るべきではないと。そうでなければ支援者の輪も広がらない、それが最優先だぞと。それは今回も同じです。新五さんは「わかった」ということで自分の会派の総会で話をして、今回は12人の市議の方々が応援していいと承諾していただき、そのほかにも日教組とか革新の方々にも応援していいというお話をいただいた。私も、それなら方向性は出るだろうと思いました。
そこで改めて私が伝えたのは、「自分は県連会長なので、できることとできないことがある」ということです。県連執行部でもいろいろな意見がありましたが、県議会副議長を受けておいてある日突然、議長ではなく議会事務局に辞表を持って行った十中(大雅)氏については問題があるという意見もありました。それで会長一任ということになり、「今回は両方推薦しません」と。そのうえで、おのおので支援していただいて結構ですということで、「異議なし」となりました。
──自民党県連執行部での決議を経たうえで、新五さんの応援というかたちをとった。
原口剣生 組織ですから自分勝手にやることは許されません。しかしある方の陣営では、自民党久留米支部での話が決まらないうちにマスコミに対して「選対本部長をやる」とか「命がけでやる」などと言われた方もいらっしゃいました。私は筋を通したうえで、それまではいくら兄弟であろうとも政治家の端くれとしてルールに則ってやろうと。
──十中氏は同じ地元で県議での同僚でもあった。県議会での非難決議でけじめはつきましたか。
原口剣生 私はけじめになっていないと思います。なぜかというと、十中先生が副議長になりたいと言われたときに、「自分は秋田(章二)議長を補佐して一生懸命に、県政運営と自民党県連のために粉骨砕身やります」と大勢の方々の前で明言されたわけです。つまりそれは、副議長を任期中やりきるという約束であり、その舌の根も乾かないうちに辞表を出すというのはあってはならない。辞表を出すのは個人の自由かもしれませんが、議長への説明や議会への説明も一切ありませんでした。
もう1つ大きな問題もあります。いわゆる政治資金規制法の範疇になろうかと思いますが、副議長就任パーティーを行った際には自民党県連の藏内元会長(勇夫・常任相談役)や松本國寛・特別顧問に加えて私も発起人に名前を載せていました。だからこそたくさんの方々がチケットを買って参加されたはずです。それがたった1カ月で辞めてしまっては、「パーティーで集めたお金を選挙資金に使われた」と批判されても仕方がないと思いますね。
──十中さん自身は強引なことをやるキャラクターではないという話もあります。市長選が終わって、新五市長は「ノーサイド」と強調していますが、選挙のしこりは残りますか。
原口剣生 しこりが残らないということはないでしょう。昔から勝ったほう負けたほうにいろいろな意見がありますからね。あと、「(十中氏は)そういうことをやる人ではない」とおっしゃるが、実は昨年11月上旬にある方が私を訪ねていらっしゃって、「十中が市長選に出ることを受けてくれた」と報告に来たことがありました。私が「県議会では何も言われていないし、十中さんご自身も『決めていない』と言っているが」と返したところ、「いや、昨日決めてもらったのであんたに報告にきたんだ」と。だから結局は本人の決断なんですよ。他人に勧められて乗っただけです、は通らないと思います。
──対立した陣営と和解できるのか。
原口剣生 私たちは自然体でいますが、いろいろな会合で私たちを避けていらっしゃる方もいるようです。私たちはねぎらいの言葉をもっていますが、避けられている間はお伝えすることもできない。「和解できるのか」とお聞きになる方もいますが、和解する必要があるのでしょうか。つまり選挙は勝つか負けるかということであり、さらには市民が選択されたわけです。水害対策、経済対策、ワクチン接種などの政策で久留米市の舵取り役を選んだわけですから、和解うんぬんを言われること自体がおかしい。
久留米市政「原口家の独裁」批判に対して
──新五さんが市長選に立つことで「原口家が久留米の政治を独占する」という批判もありました。
原口剣生 そういう声も承知していました。しかし、私たちは同じ「原口」という名前ではありますが、それぞれを1人の政治家として見ていただきたいのです。市議会と県議会で選んでいただいた政治家が「原口さん」だったと。そもそも私が、家族だから、親戚だからということで勝手に市政・県政運営をすることは絶対にありませんし、私たちはいつも地域住民の方々と語らうなかでおのおのが政治活動をしてきました。だからこそ二十数年間、三十数年間政治家を続けられてこられたと思います。それはむしろ市民の方々が一番わかっていらっしゃるのではないですか。「剣生は剣生たい。新五は新五、和人(久留米市議)は和人たい。おやじはおやじやったろうが」と、そうみていただいていると思いますし、それだけ地域のためにやってきたという自負があります。
──新五さんは「久留米市発展のためには、剣生さんとの距離が近いことはメリットでしかない」と話していました。
原口剣生 大久保市長の時も県に対するお願いはほとんどが私を通してでしたし、相談相手も私だったと思います。たとえば、久留米市に誕生したバイオベンチャーの「(株)ボナック」にしても、新五さんから教えてもらったことで県から研究助成費用3,000万円を出させていただきましたし、国の事業に採択されて50億円という大きな予算をいただくことができました。ボナックが成長すれば第2のブリヂストンになる可能性もありますし、そういったことを大久保さんと二人三脚でやってきました。
大久保前市長をいじめる方もいらっしゃったではないですか。大久保さんが言うことを聞かないからいじめるわけで、そうなるといじめられた人は違うところにお願いに行きますよ。「悪いことをしろ」と言われても聞くわけがないのですから。新五さんが勝ったことを「密室政治が始まる」と批判する方もいますが、率直に申し上げてどちらの(陣営の)ことをおっしゃっているのかなという感じですね。
【県政取材班】
<プロフィール>
原口 剣生(はらぐち・けんせい)
自民党福岡県支部連合会会長。当選6回。1954年7月18日生まれ。県立南筑高校出身。南筑高校柔道部OB会会長。関連キーワード
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