【脊振の自然に魅せられて】ゲレンデにて(前)
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広島に赴任し、取引先の社長に誘われて52歳から始めたスキーも25年になる。広島の恐羅漢スキー場に通い練習した。少しでも上手になるには練習しかなかった。
広島での4年間の単身赴任生活を終え、福岡に戻る。そして、佐賀県にある天山スキー場のシーズン券を購入して通い続けた。天山スキー場は人工降雪機を装備し、12月から3月の終わりまで滑ることができた。厳冬期に九州にしては雪質の良い雪も降り、上級者コースで結構滑ることができた。
バッチテスト2級(中級)に合格してから、このスキー場で初心者指導のインストラクターをさせてもらった。インストラクターをして10年余りになる。
たくさんの子どもたち、沖縄の修学旅行の中学生、成人女性、東南アジアやモンゴルの農業研修者、香港からの観光客などにスキーの楽しさを教えてきた。幼児や低学年の子どもたちとは孫同然に雪の上で遊んだ。また、練習コースでは何度も登って滑ってみせた。
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『脊振の自然に魅せられて』一期一会の出会いここ数年は温暖化の影響もあり、天然雪も降らなくなり、スキーヤーやスノーボーダーも遠のき、昨年と今シーズンはオープンできなかった。経営は一段と難しくなり、今年1月早々に廃業を決めた。33年間、頑張って営業を続けてきたスキー場である。佐賀県、福岡県、その近隣のスキーヤーやスノーボーダーにとって残念なことだ。
練習を続けて、何度も不合格になったバッチテスト1級に69歳でやっと合格した。1級は上級者で、その後は指導員の道になる。
年間30日近く滑っていたスキーだったが、昨年は新型コロナの影響もありスキー場へ行くことなく、所属しているスキークラブの合宿にも参加しなかった。新しく買ったスキー板は部屋に飾ったままであった。
仲間から、今月5、6日に九重スキー場(大分県)に行くとの連絡が入った。家内の体調が思わしくないのと、コロナ感染が怖いので宿泊は気が進まない。
スキーバスを検索すると、20年前に利用したスキーツアー専門の旅行会社が営業を続けていた。早々にインターネットで早朝8時10分博多駅前発のバスを予約した。自宅マンションは地下鉄まで5分の距離にある。板、ブーツケース、リュックサックを背負って、地下鉄博多駅で下車し集合場所に向かう。集合場所は若者で賑わっていた。レンタルを利用するらしく身軽である。
高速道路を使ったバスは予定通り午前10時30分に九重スキー場へ着いた。ルーティンの準備運動を行い、緩斜面で足ならしをした。そして仲間と合流。仲間3人は急斜面を滑り終えたところだった。「遅くなりました」と挨拶する。所属するスキークラブで交流を続けてきた人たちだ。
上級者コースのリフトを降り、ゲレンデの最上部に立つと、斜面から吹き上げる風がウエアをバタバタと叩く。この日、スキー場には強風が吹き込んでいた。風を受けながら急斜面を滑り降りる。青空と雲と太陽、大自然が筆者の体を包み込む。スキーの醍醐味である。
(つづく)
福岡スキー連盟所属 福岡スベロー会会員
脊振の自然を愛する会
代表 池田 友行関連キーワード
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