VRシアター「4DOH」を浸透 社会に有用なメタバース推進(前)
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(株)ピー・ビーシステムズ
代表取締役社長 冨田 和久 氏Facebook(現・Meta)がメタバース(仮想空間)企業への変貌を宣言するなど、メタバースへの注目度が高まっている。そんななか、企業のデジタルワーク推進支援で定評のある(株)ピー・ビーシステムズは昨年、メタバース推進部を立ち上げ、得意とする3Dの映像技術による感動共有型VRシアター「4DOH」の活用などにより、企業や自治体などの問題解決に貢献するメタバースの提供を目指している。代表取締役社長・冨田和久氏に同社が目指すメタバースの取り組みや社会像について話を聞いた。
(聞き手:(株)データ・マックス 取締役 緒方 克美)より広範な人々が使えるメタバースを推進
──昨年メタバース推進部を立ち上げましたが、狙いと見通しについてうかがいます。
冨田和久氏(以下、冨田) 当社はエモーショナルシステム事業において4DOH(フォーディーオー)の開発販売を10年以上手がけてきました。360度全周の3D映像を映すことができるメディアであり、実写やCGの3Dコンテンツを制作しています。全国の遊園地などアミューズメント施設で稼動していますが、近年はほかの活用方法を模索し、企業活動や社会での防災訓練、高齢者の健康増進などへの活用に取り組んでいます。
昨年10月にFacebookが社名をMeta(メタ)に変更しましたが、前後してメタバースという言葉が使われる頻度が高まり、盛り上がってきていると感じ、当社の事業の概念について説明しやすくなると考え、メタバース推進部を設立しました。当社は、VR技術は社会に役立つものとの認識で一貫して取り組んでおり、この機会に当社が業務システム面のサービスを提供する主な顧客層である企業、自治体向けにメタバースを制作していこうと考えています。
当社が目指すのは企業、自治体に新しいサービスや表現を提供することです。Facebookなどが行おうとしている、ユーザーがVRゴーグルをかけてアバターとして会議を行ったり、ゲームで遊んだりするというものとは異なります。
具体的な例を挙げると、市役所をパソコンのなかで表現します。リアルな部屋があり、出入り口があり、入ると窓口があって、住民票を取る窓口に行けば、受付の人がいて、住民票がほしいと伝えたら、番号札を受け取り、待つ、受け取るということが、行かずにできる世界です。問題意識として、高齢者など、パソコンやスマホに不慣れな人が多く存在するというデジタルデバイド(情報格差)の問題がありますが、社会のマジョリティーは高齢者の方だと思います。
誰にとってもわかりやすい世界がつくれれば、リアルの世界とほぼ変わらないオペレーションで住民サービスを受けられる状態をメタバースのなかで実現できるはずであり、高齢者がこういうものに入る1つのきっかけになればと思います。
──高齢化の問題に直面する日本から、それに対するメタバースのサービスが生まれる可能性があるということですね。
冨田 まさにその方向性で進めています。4DOH同様にメタバースも高齢者向けであることを強く意識しており、どうアプローチするかが一番大きなテーマです。先日、4DOHは(株)QTnetの「オープンイノベーションプログラムTSUNAGU2021」で「優秀賞」を受賞しました。九州産業大学の研究者と協力して、4DOHを用いて高齢者の視覚・聴覚を刺激することによる加齢にともなう認知機能の低下の防止に取り組んでいます。エレクトロニック(e)とリアル(r)を掛け合わせ、erスポーツと呼んでいます。たとえば、高齢者が画面に反応して運動をしたり、画面に自身の故郷の画像が現れて感情を揺さぶられたり、突如宇宙空間に連れて行かれたりなど、感覚に影響を与えるコンテンツを制作して、介護施設に導入し、週に1回など定期的に知覚トレーニングを行い、加齢による認知機能の低下の防止につなげる実証実験に取り組んでいきたいと考えています。
当社が考えるメタバースについては、高齢者に限定しませんが、ネット・デジタル機器にアレルギーのある人たちが使いやすいように意識しています。たとえば、コロナワクチンの接種の予約が非常に困難な自治体もありましたが、手続きをメタバースで行うことができれば、高齢者にとっても楽だったと思います。高齢者を取り巻く課題は日本に限らず全世界に存在しており、潜在的な顧客は全世界にいると思います。社会において、インターフェースをより使いやすくすることへの取り組みが従来は不足していました。そうした課題の解決に少しでも役に立てるものをつくり出したいと思っています。
(つづく)
【文・構成:茅野 雅弘】
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<COMPANY INFORMATION>
代 表:冨田 和久
所在地:福岡市博多区東比恵3-3-24
設 立:1997年2月
資本金:2億4,689万円
売上高:(21/9)21億6,536万円
<プロフィール>
冨田 和久(とみた・かずひさ)
1963年生まれ、福岡市出身。福岡高校、九州大学卒。野村コンピュータシステム(株)(現・(株)野村総合研究所)、(株)シティアスコム勤務を経て、97年(株)ピー・ビーシステムズ設立、代表取締役社長に就任。2019年、福岡証券取引所Q-Boardに単独上場をはたす。法人名
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