VRシアター「4DOH」を浸透 社会に有用なメタバース推進(中)
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(株)ピー・ビーシステムズ
代表取締役社長 冨田 和久 氏Facebook(現・Meta)がメタバース(仮想空間)企業への変貌を宣言するなど、メタバースへの注目度が高まっている。そんななか、企業のデジタルワーク推進支援で定評のある(株)ピー・ビーシステムズは昨年、メタバース推進部を立ち上げ、得意とする3Dの映像技術による感動共有型VRシアター「4DOH」の活用などにより、企業や自治体などの問題解決に貢献するメタバースの提供を目指している。代表取締役社長・冨田和久氏に同社が目指すメタバースの取り組みや社会像について話を聞いた。
(聞き手:(株)データ・マックス 取締役 緒方 克美)安全・安心なVR世界を
──メタバースの概念について、いろいろな捉え方がありますが、よりシームレスなものとして捉えているように見えます。
冨田 当社のポリシーは、企業、自治体、社会にとって役に立つものを制作するというもので、より敷居が低く、利便性が高いメタバースを制作したいと思っています。メタバースの発展の背景には、グラフィックチップの高性能化があります。従来はテキストでしか表現できなかったことが、本格的な映像、3D動画で表現できるようになってきています。こうしたハード面の進歩をうまく利用して、表現力を高められると思っています。
今後、メタバースもいろいろな企業のものが出てくると思います。Facebookのほかにも、NVIDIAやGoogleのメタバースなどが出てくるでしょう。このような世界が出現すると、たとえば、福岡市役所のメタバースから海外のメタバースに行くことなどができるようになると思います。当社の目標は、現在ほとんどの企業、自治体がホームページをもっているように、それらがメタバースをもつ世界を実現することです。ホームページにメタバースへの入り口があり、企業や自治体がアピールしたいことを従来以上の表現力で実現する仕組みが出来上がれば、世の中はさらに変わるでしょう。
1企業に1メタバースというのは、荒唐無稽な話ではありません。たとえば、製造業の新製品について従来以上の表現力で疑似体験ができるものがつくれたら、実際の購入に大きな影響をおよぼすでしょう。今後、匂いなどの五感で感じられるインターフェースがパソコンに接続され、よりリアルに感じられるようになるかもしれません。すべての企業・自治体が当社の事業の対象になる可能性もあり、現在はその壮大な話のスタート地点に立っていると感じています。
また、VRゴーグルを極力使用しないで、よりリアルに近い世界をパソコンのなかで表現することが可能だと思っています。当社の4DOHの一番大きな特長は、VRゴーグルが不要なことです。私は、オキュラス社(Facebookが買収)の「オキュラスリフト」のようなVRゴーグルをかけてVR世界を体験することにはずっと疑問を感じてきました。VRゴーグルをかけると、視界や外部音が遮られ、背後に人がいてもわからない状態に放り込まれるわけで、怖くてたまりません。背後から襲われるなど犯罪を助長すると危惧しています。それをディストピアという人もいます。その状態を不快に感じないユーザーもいて、Facebookのメタバースは一定程度の支持を集めるとは思いますが、VRゴーグルを必要とする状況で大きく発展するのかという疑問を感じています。また、長時間の視聴による身体への負担も考慮する必要があり、4DOHのコンテンツは最長で約8分と短くしています。
VRは、ユーザーがより安全・安心に体験できるかたちで発展することが求められると思っています。それが社会にとって本当に有用で、人々が快適に感じる世界だと思っています。当社は4DOHで、VRゴーグルを装着しないかたちのVRを実現できており、そこで培った技術を活用し、いろいろな社会問題を解決したいと考えています。
──認証システムも重要になりますが、先日メタバースでの実証実験開始を発表したPedyには、どのような特徴があるのでしょうか。
冨田 Pedyは佐賀県の(株)デイ・ソフトウェア社が開発した仕組みです。本人認証の機能は、リアルからメタバースに移行する際に、さまざまな場面で必要になってきます。たとえば、ある人がメタバース内の市役所で必要な書類を申請した場合、その人が申請した本人である証明をその場で発行します。それを身動きできる家族に伝達し、家族が市役所に実際に行き、その証明を職員に見せると、本人確認ができて書類を発行してもらえます。
Pedyは暗号システムにおいて独自のロジックをもち、これは特許申請中です。決済システムと切り離し、本人認証だけを行うという特徴も有しています。メタバースのなかでは、PayPayでも仮想通貨でも支払うことができるでしょう。企業・自治体が新しい空間を実現するための必要なツール、機能として開発していきます。スマホで読み取ることで譲渡、履歴のトレースも可能です。
(つづく)
【文・構成:茅野 雅弘】
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<COMPANY INFORMATION>
代 表:冨田 和久
所在地:福岡市博多区東比恵3-3-24
設 立:1997年2月
資本金:2億4,689万円
売上高:(21/9)21億6,536万円
<プロフィール>
冨田 和久(とみた・かずひさ)
1963年生まれ、福岡市出身。福岡高校、九州大学卒。野村コンピュータシステム(株)(現・(株)野村総合研究所)、(株)シティアスコム勤務を経て、97年(株)ピー・ビーシステムズ設立、代表取締役社長に就任。2019年、福岡証券取引所Q-Boardに単独上場をはたす。法人名
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