新聞社の行く末 資産売却に活路か
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西日本新聞
ブロック紙の雄・西日本新聞社の2021年3月期の連結売上高は前期比約67億円減の349億円で、4億円超の最終赤字に転落した。業績悪化の主な要因は新聞発行を中心とするメディア関連事業の落ち込みである。その一方、不動産事業は堅調に推移しており、新聞の赤字を不動産でカバーしている状況となっている。
同社は今月1日、会社分割により、新聞、出版物および印刷物の制作・発行事業の一部を昨年4月設立の100%子会社、(株)西日本新聞プロダクツに継承した。グループの中核を成している「紙の新聞」に関わるグループ各社の業務を統合し、シナジー効果を発揮することが目的だというが、業績の悪化を遅らせるための苦肉の策という印象は否めない。
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受難の時代続く~(株)西日本新聞社このまま新聞事業の不振が続けば、不動産などの固定資産の売却も視野に入ってくると思われる。福岡市の中心地・天神のど真ん中にある同社社屋は1975年竣工の築47年。そろそろ建替えも視野に入ってくるだろう。一説によると、この土地の資産価値は約500億円にも上るという。思い切って土地を売却し、米国「ニューヨーク・タイムズ」のように紙からデジタルへとシフトするのも一案だと思うが…。
毎日新聞西部
毎日新聞西部本社は、1922年に大阪毎日新聞(現・毎日新聞大阪本社)が北九州市門司区に西部総局を開設したのが始まり。65年に現本社がある毎日西部会館に本社を移し、現在に至る。建物北側はテナントフロア、南側は新聞社フロアとなっている。
築57年で老朽化が目立ってきているが、毎日西部会館は建設当時、通常のビルの2倍近いコンクリートを使用し、支柱を地下深くまで通すなど堅牢な建物で、近隣の小学校からは津波襲来時の避難場所にも指定されているという。
毎日新聞は近年、新聞の発行部数減少に歯止めがかからず、資産売却などのリストラを行わなければならない状況に陥っている。会館の一部を保有する北九州商工会議所が建物売却の意向を示しているとの話も聞こえてくる。
毎日新聞は北九州市でシェア1位。その一方で、福岡市中央区のかつての「福岡総局」を「福岡本部」とし、福岡都市圏における販売促進を図っている。小倉の西部会館を売却して、軸足を福岡本部に移すなどの思い切った戦略をとることも視野に入れてもよいのではないだろうか。
読売新聞西部
読売新聞西部本社は、九州・沖縄および山口県で新聞を発行している。読売新聞西部本社はもともと、読売興業(株)(現・(株)よみうり)が新聞事業の一部門として1963年に発足させたもので、翌9月に読売新聞西部版を発刊した。当初は北九州市小倉北区に本社を置いていたが、2002年7月に読売新聞グループの再編により(株)よみうりの運営から独立し、(株)読売新聞西部本社となる。
福岡都市圏におけるシェア拡大のため、04年に本社ビルを新築し、本社機能を全面的に移転(それ以前の福岡市における拠点は、本社から200m弱の読売福岡ビル)。しかし、21年3月期は5億円の赤字を計上しており、経営のスリム化のために不動産資産の売却なども今後検討する価値があるのでは…。
【データ・マックス編集部】
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