創業112年目の決断、カワムラ家具が家具販売から撤退
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明治43年(1910年)創業の(株)河村家具(福岡市西区、河村和範代表)が、今年9月下旬をメドに家具販売事業から撤退する。福岡市西区福重、国道202号(今宿新道)沿いに店舗を構えるカワムラ家具は、その目を引く大きさもあって、地域のランドマークとしても親しまれていた。創業112年目を迎えての決断を受け、同店で衣装箪笥を購入したことがあるという女性は「驚きました。昔からずっとある家具屋さんだったので、寂しいですね」と話した。
河村家具は、和洋家具とホームファッションの小売販売業者。家具販売にとどまらず、昭和のレコードや映画のパンフレット、さらには河村社長自らが研究のすえ生み出した「万能焼肉のタレ」や合鴨肉などの食品も販売。近年では家具専門のアウトレット業態にも取り組んでいた。
一時は「カワムラの家具も一緒にお嫁入り」というキャッチフレーズで話題となり、婚礼家具のセット販売を主力に業績を伸ばしていた同社。福岡市や春日市などで6店舗を展開し、1998年6月期には約33億円の売上高を計上するなど、地場屈指の存在感を放っていた。
しかし、収益基盤となっていた婚礼家具の需要縮小や、競争激化の影響を受け業績は低迷。2001年には民事再生の道を選択した(負債総額は約34億円)。
その後、05年には民事再生手続が終結し、負債も全額完済。しかし、依然として家具販売業を取り巻く環境は厳しく、暗中模索が続くなか、現社長である河村和範氏は保育業界に活路を見出す。保育業界を通じた販路拡大を目指し、モノマネ紙芝居、「かわむら劇団」をスタート。幼稚園や保育園に通う子ども達を楽しませながら、少しずつ顧客を獲得していく。
また、河村社長は得意とするサザンオールスターズの桑田佳祐氏のモノマネを生かし、「KAWAMURA BAND」の名前でバンド活動を実施。こうした多彩な取り組みから河村社長はメディアに取り上げられることも多くなり、カワムラ家具は河村社長の存在とともに、業容を拡大していった。
しかし、周囲では中村家具・福岡店が営業しているほか、2020年には低・中価格帯の家具販売業者、東京インテリア家具・福岡西店がオープン。競争激化に加えて、販売チャネルが徐々にネットへと移行していくなかで、近年の売上高は約2億円~3億円台で推移していた。
なお、6月24日より「完全閉店セール」を開催。得意先には6月18日~20日の3日間限りのプレセールを開催する予定となっている。
【代 源太朗】
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