2024年12月23日( 月 )

孫さん、追悼文を書かせるな!

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絶体絶命は幾多もあったが…

東京ポートシティ竹芝オフィスタワー    投資会社ソフトバンクグループ(株)が絶体絶命の淵に立たされている。孫正義氏は過去に幾多のピンチに立たされてきたが、今回は孫氏に行き詰まりの懸念が高まっている。嫉み根性をもったYouTube上の語り手たちは、「ついにソフトバンク・孫氏が破綻するかも」と面白おかしく騒ぎ立ている。

 筆者の見解はその真逆だ。「孫さんは日本の若手経営者の師匠といえる存在。ここは粘ってください」というエールを送りたい。筆者の友人の経営者たちの間では、ソフトバンク株を所有していたおかげで、ピンチから脱することができたという事実がある。したがって、孫さんへ激励の言葉を贈る義務があるのだ。

アリババのオーナー・マー氏は現役から退かされる

 孫氏が幾多の危機から脱出できた理由は、アリババ株の時価評価額がケタ違いの含み資産となっていたからである。この膨大な含み評価額が銀行の支援を取りつけてきた。

 ところが、中国共産党政権は、孫氏の盟友でアリババ前オーナーの馬雲(ジャック・マー)氏を強権的なやり方で抹殺した。中国共産党政権が今後もマー氏のようなスーパーマン経営者を追放するという愚策を繰り返すようでは、必ずしっぺ返しを食らうことになるであろう。守りの要、アリババ株は銀行の担保として拘束を受けている状態で、活用できないでいる。

投資運用は孫氏だけでは不可能

 孫氏は世界でも指折りの投資運用に卓越した人材を数多くスカウトし、10兆円規模の運用を可能としていた。ただ、この人たちには義理も人情もない。勝手に動き回る。彼らが選択・決定する動機は2つだけだ。報酬額とその投資ファンドに魅力を感じるか否かである。

 孫氏に好待遇で雇われていても、まったく気にも留めない。(1)ソフトバンクの投資事業はもはや再起不能と判断する。(2)職場の伝手で、上司がほかのファンド事業に着手することを知って売り込む。以上の結果、集団退社が相次いだ。投資ファンド事業以外の事業であれば、孫氏が単独で行うことは可能かもしれないが、投資ファンド事業を彼1人で行えるわけがない。相撲で言えば、俵の上に踵をつけて必死で踏ん張っている状態である。俵越しに踵がつけば、経済用語では自己破産となる。

孫氏の敗北が決定的になれば日本はおしまい

 孫氏は1980年に事業を起こした。もう42年になると感慨にふけりたくなる。日本はこの年に新時代に突入したとみられる。彼は新時代の寵児であり、「孫正義に続け」と若手経営者の励みとなる存在であった。楽天・三木谷氏も孫氏の後を追いかけてきた。しかし、日本において、アメリカ、台湾、韓国と比較して、新時代の波に乗ってマンモス企業へと変貌を遂げたケースは本当に稀少である。

 皆さん、孫氏の偉業を素直に褒め称えよう。「ソフトバンクが大化けした理由は何か。第2、第3の孫氏を誕生させよう」という姿勢に転換することが必要である。嫉み、やっかみの一心で失敗を批判することは止めよそう。孫氏の後を追いかけ、追い抜く企業が出現しないと日本は終わる。南無阿弥陀仏。

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