2024年07月17日( 水 )

中国ネット大手テンセント、人員を大幅削減(前)

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ネットワーク イメージ    中国のネットサービス大手の騰訊控股(テンセント)が、今年前半からリストラを始めた。2021年後半に入社した馮鑫さんは、解雇されないように連日午後10時まで働いていた。退勤時にはもうほとんど誰もいなかった。このような残業生活を2週間続けた時もあった。

 それで、馮さんは、所属長から話がしたいと言われたときに、「よく頑張っているから褒美を与えよう」とでもいわれるものと思った。ところがなんと、30分ほど話し合った後に、リストラの話を持ち掛けられたのである。

 「自分の思い上がりだった。でも仕事が本当に多すぎて、毎週残業続きで、これほど忙しいとはまるで思わなかった」。馮さんはこれだけ人の足りない部署からリストラの話を受けたことが今でも信じられないという。

 ただし、人員整理についてはすでに前触れがあった。21年の末に行われた年次総会で、馬化騰取締役会長兼CEOが「年の初めから年末まで業界全体が激しいつぶし合いや競争にあい、結局わずか1、2カ月で冬が訪れた。気温が下がっても半袖を着ているような状態だった」などと、「越冬」に例えた話をしていた。

 22年3月に行われた21年度の決算発表によると、売上高は前年比16%増の約5,601億元で、自社に帰属する純利益は同41%増で2,248億元であった。ただし社員数も増え、10万人以上に達したという。馬氏はこの発表会で「新たな環境に馴染んでいるところだ。コストダウンと効率アップをはたして長期的に成長したい」と述べた。

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 好調な業績データを前にした社員は、危機感を感じることもなく、馬氏が繰り返した「コストダウンと効率アップ」との言葉も、話のネタにはならなかった。社員の楊萌さんは、「コストダウンや効率アップなんて誰も気にしていなくて、出費の削減だと思っていたし、仮にリストラしても悪い方の10%~20%ぐらいと思っていた。部門ごとなくなる事態は考えもしなかった」と振り返る。年初のころ、仲間とのおしゃべりの話題は株や家族のことだったが、4月にCSIG(クラウド・スマー卜産業事業群)が一気にリストラ対象となったあたりから社内の雰囲気が変わり始め、5月には風向きが完全に変わったという。

 部門ごと消滅して業績を問わず全員が「卒業」させられた経験を持つ孫立平さんは、「年初にリストラの話が持ち上がったとき、所属長から『絶対に首にはしない』と言われたが、その言葉は数カ月後に裏切られた。チームのメンバーの3分の2が姿を消してしまった」と述べる。

(つづく)


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