2024年12月26日( 木 )

旧統一協会と家庭教育支援法案

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 NetIB-Newsでは、政治経済学者の植草一秀氏のブログ記事を抜粋して紹介する。今回は、「旧統一教会の活動の実態を明らかにし、日本政治の腐敗構造を除去しなければならない」と訴えた8月20日付の記事を紹介する。

自民党改憲案は日本国憲法第24条改定を含んでいる。

現行の第24条は次の条文。

〔家族関係における個人の尊厳と両性の平等〕
第二十四条 婚姻は、両性の合意のみに基いて成立し、夫婦が同等の権利を有することを基本として、相互の協力により、維持されなければならない。

2 配偶者の選択、財産権、相続、住居の選定、離婚並びに婚姻及び家族に関するその他の事項に関しては、法律は、個人の尊厳と両性の本質的平等に立脚して、制定されなければならない。

自民党改憲案は次の通り。

(家族、婚姻等に関する基本原則)
第二十四条 家族は、社会の自然かつ基礎的な単位として、尊重される。家族は、互いに助け合わなければならない。

2 婚姻は、両性の合意に基づいて成立し、夫婦が同等の権利を有することを基本として、相互の協力により、維持されなければならない。

3 家族、扶養、後見、婚姻及び離婚、財産権、相続並びに親族に関するその他の事項に関しては、法律は、個人の尊厳と両性の本質的平等に立脚して、制定されなければならない。

注目すべきは、第1項が新設されていること。

「家族は、社会の自然かつ基礎的な単位として、尊重される。」

「家族は、互いに助け合わなければならない。」

「家族」について憲法が立ち入って「尊重される」との価値観を表明している。

現在の日本国憲法が想定している社会の基本単位は「個人」である。

これに対して、自民党改憲案は「家族」に焦点を充てる。

そのうえで、「家族は、互いに助け合わなければならない」の条文を新設し、家庭内の相互扶助を義務付ける。

旧統一協会=世界基督教統一神霊協会は2015年に世界平和統一家庭連合に名称を変えた。

この旧統一協会が強調するのが「家庭」の役割。

安倍元首相が会長となり2012年4月に発足させた「親学推進議員連盟」が立法化を目指してきたのが「家庭教育支援法」である。

この地方自治体バージョンが「家庭教育支援条例」。

8月20日放送のTBS系列報道番組「報道特集」がこの問題を取り上げた。

「親学推進議員連盟」が発足した当時、安倍氏はメルマガで次のように記している。

「教育は本来「家庭教育」「学校教育」「社会教育」の三本柱で行われなければなりません。

しかし戦後「家庭教育」が消され、家族の価値すら、危うくなっています。」

2006年に発足した第一次安倍内閣が唯一残した悪しきレガシーが教育基本法改悪だった。

この教育基本法に国家による家庭教育への介入の基盤が盛り込まれた。

本ブログ、メルマガでは2017年1月6日に

「家庭教育への介入は思想および良心の自由の侵害」
https://bit.ly/3Ckh9y9

「国家が家庭教育を統制する家庭教育支援法案」
https://foomii.com/00050

で、この問題を取り上げた。

記事で次のように記述した。

「伊藤真氏との共著

『泥沼ニッポンの再生
 -国難に打ち克つ10の対話-』

https://goo.gl/7CYc2X

のなかで、私は日本の教育が「覚える・従う」偏重で、

「考える・主張する」が欠落していると指摘した。

尊厳ある個人を育成するのではなく、

国家にとって都合の良い人を育成すること

が目指されているのである。」

「家庭教育支援法案は、国家が家庭教育に介入するための法案である。

戦時下に発令された「戦時家庭教育指導要綱」(母の戦陣訓、1942年5月)と重なるものである。

「家庭教育の重要性を唱え、家庭の教育力の低下を指摘し、国家が家庭教育を支えなければならないとするロジックは完全に共通している」(月刊FACTA)

のであり、安倍政権が日本を戦前の大日本帝国憲法下の日本に誘導しようとし
ていることがはっきりと読み取れる。」

と記述した。

家庭教育支援法を制定せよとの主張が旧統一協会=国際勝共連合の主張と完全に重なる。

自民党は旧統一協会と深い関りを有するとの次元を超えて、旧統一協会が自民党を支配してしまっている側面が浮かび上がる。

そして、明らかになっている事実を認めることすらしない萩生田光一自民党政調会長の問題。

岸田文雄氏はこの人物を自民党中枢の要職に据えた。

岸田内閣の転落は回避不能である。

※続きは8月20日のメルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」「旧統一協会と家庭教育支援法案」で。


▼関連リンク
植草一秀の『知られざる真実』

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