2024年11月28日( 木 )

半導体関連の設備投資拡大 人材の確保が課題

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 世界的な半導体メーカー・台湾積体電路製造(TSMC)が、ソニーグループと共同で熊本県菊陽町において半導体工場の建設を進めている。国内企業も半導体用シリコンウエハーの製造・販売を手がける(株)SUMCO(東京都港区)が佐賀県伊万里市に新棟を建設するほか、ローム(株)(京都市)も筑後にある工場に生産棟を増設するなど、九州で半導体産業への設備投資が活発化している。

 TSMCの初期投資額は約8,000億円で、熊本県内に進出する企業の投資額では過去最大級となっている。TSMCの日本子会社Japan Advanced Semiconductor Manufacturing(株)(JASM)は、操業開始予定の2024年末までに約1,500人を雇用するといい、求人サイトに掲載されている大卒の初任給は月額28万円と好待遇。また、SUMCOは500人~600人を、ロームは約150人を雇用する予定。

 九州での工場建設の動きは半導体メーカー以外でも目立ってきた。沢井製薬(株)(大阪市)は飯塚市にある第二工場で新固形剤棟の建設を行い490人の雇用を予定している。環境保全装置の製造を手がけるカンケンテクノ(京都府長岡市)は、熊本県玉名市に新工場を建設し、100人を雇用するという。

 こうした工場の新設ラッシュや労働力不足、コロナの影響などもあり、人材獲得競争に拍車がかかることが予想される。とくに半導体分野においては、エンジニア求人数が全国的に拡大傾向にあり、リクルートによると21年度の求人数は前年度の2倍になっているという。

 政府は企業が一定の要件を満たせば、半導体工場建設に必要な費用を補助する改正関連法を施行するなど、半導体工場の建設を後押ししている。しかし、「生産工程の職業」(製造業において、工場などで生産工程に従事する職業)の有効求人倍率は、15年が1.10であるのに対し、21年は1.55。生産年齢人口の減少が続いている労働市場において、工場新設の際の人材確保が今後ますます重要な課題となってくることは間違いないだろう。

【新貝 竜也】

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