2024年11月13日( 水 )

高質な店舗づくりと働き方改革で、顧客も従業員も満足させる企業へ

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(株)フードウェイ

 食品スーパー業界においては後発ながら、精肉事業で培った経験・ノウハウをいかすとともに、高質な店舗づくりにより九州で顧客の支持を得て、首都圏でも店舗を展開している(株)フードウェイ。事業環境は厳しさを増すが、毎年一定数の新規店舗を出店している。さらに成長を続けるため、時代の変化に対応した働き方改革を模索、従業員の満足度が高い企業を目指している。

高質な店で成長し続ける

(株)フードウェイ 後藤 英和 副社長
(株)フードウェイ
後藤 英和 副社長

    食品スーパー業は、人口減少や業界内の競争激化に加え、ロシアのウクライナ侵攻を受けた燃料および食品価格の高騰および円安などにより卸価格が上昇、小売価格への転嫁を迫られる厳しい状況にある。(株)フードウェイの後藤英和副社長は今後について、「すべての商品価格が上昇するのでは」と懸念を示す。すでにロシアの侵攻前の2月以前と比べて10〜20%値上がりした商品も多い。

 スーパーにとって、価格が上昇しても顧客にきてもらえるように商品とサービスの質を維持するか、ディスカウントストアとの価格競争による体力勝負に巻き込まれるかという状況が生まれている。そのようななか、精肉取扱い事業で得た経験・ノウハウなどをいかし、手頃な価格の商品のラインナップをそろえながら、高質な店づくりを行うことで、スーパー事業を拡大・成長させているのがフードウェイだ。

 1991年、精肉テナント業((株)ミートイン・ハイマート)としてスタートし、2000年に食品スーパー事業に参入。業界においては後発だったが、福岡県を中心に九州で高い知名度を確立。10年には店舗の屋号をフードウェイに変更した09年に関東へ進出し、近年では東京や静岡、神奈川、千葉、広島においても有名な商業施設へ次々に出店するなど快進撃を続けており、急速にブランドが浸透してきている。

 現在は創業企業であるミートイン・ハイマートとスーパー事業部であるフードウェイの2社を中心にフードウェイグループを形成。北部九州を中心に関東、東海エリアへの出店も積極的に行い、(株)エムツー(精肉小売業)、(株)絆(水産小売業)、(株)KC Japan(青果加工卸・小売業)と合わせ、現在5社体制で運営している。店舗数はミートイン・ハイマートが38店舗、フードウェイが29店舗。

コロナ禍での取り組み

 コロナ禍で新たな取り組みを行っている。その1つが韓国商品を扱う「ソウル市場」というコーナーの設置であり、既存店舗においてコーナーを設置する店舗を増やしている。これは、コロナ禍で海外に行くことが容易ではなくなったことから、日本人に人気のある海外現地の商品を提供しようという試みだ。韓国のインスタントラーメンなどは同業他社でも取り扱いを増やしているが、フードウェイは韓国商品専用の棚を設置し、より多くの商品をそろえることで、消費者に韓国気分を味わう機会を提供している。ラーメンのほか、冷凍食品の売れ行きが非常に好調だという。

 フードウェイといえば、精肉の質と鮮度の高さが自慢であるが、同様に近年力を入れているのが鮮魚だという。実際に鮮魚コーナーの充実ぶりと徹底したサービスが目立つ。多くのスーパーの鮮魚コーナーでは店舗内で捌くなどのサービスを提供しているが、人件費が嵩むため、夕方以降は人手を減らしサービスを提供する店も多い。売れ残りの廃棄も少なくないため、業界では、あまり力を入れられなくなっているという。一方、フードウェイは人による対面式のサービスを重視するとともに、多くの商品をそろえている。

 今年に入り、3月にはトリアーダ宗像にフードウェイ宗像店、4月に山口県初となるフードウェイおのだサンパーク店(山陽小野田市)をオープンさせたほか、7月にはフードウェイ稲築店(福岡県嘉麻市)をリニューアルオープンさせるなど、コロナ禍でも新店舗の進出および既存店舗の質向上を着実に進めている。来期は関東地区を含め新店舗の進出を予定している。

フードウェイ宗像店
3月にオープンしたフードウェイ宗像店

皆が働きやすい企業へ

 働き方改革として、今年入社の新卒社員に対して「みなし残業制」を適用対象から外した。勤務時間後のプライベートな時間を重視する傾向が若年層において強くなっているためだ。一方、比較的年配の社員は以前の習慣および業務への責任感から、残業を行っている。長期的に会社全体としての生産性向上につなげるよう、同社では勤怠管理システムを変更し、残業が終われば早く退社するように奨励するようにし、残業時間を極力減らすよう取り組んでいる。後藤副社長は「残業そのものをなくすよう、仕組みを変えていきたい」と語る。このように制度・意識面の双方で働き方改革を推進、社員が長く働きやすい環境整備を進めている。

 順調に成長を続ける同グループであるが、事業環境は決して楽観できる状況ではない。同グループは何事にも全力で取り組む「炎の商人(あきんど)」を合言葉に、今後もお客さまに喜ばれる店舗(売り場)づくりに邁進していくだろう。毎年2〜3店舗を出店し続け、年商はグループ全体で売上高300億円、正社員約400名、パート従業員含め約2,000人に迫る規模に成長した。現在は500億円規模にまで成長させるという目標を掲げ、飽くなき挑戦を続けている。

【茅野 雅弘】


<COMPANY INFORMATION>
(株)フードウェイ

代表取締役社長 :後藤 圭介
代表取締役副社長:後藤 英和
所在地:福岡市早良区高取1-2-22
設 立:2000年6月
資本金:5,000万円
TEL:092-852-8170
URL:https://www.foodway.co.jp

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