2024年11月22日( 金 )

【福岡市長選】王者への挑戦(6)野党系候補者の一本化を決定

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 11月20日投開票の次期福岡市長選挙は、事実上、与野党一騎打ちの構図になる見込みだ。元福岡市会議員の田中慎介候補(立憲民主党、44)が先月9月に無所属での出馬を表明、現職の高島宗一郎市長(47)は今月11日に同じく無所属での出馬を表明した。野党の支援者や市民団体でつくる「福岡市から政治をかえる会」は、8日に独自候補者の擁立を取り下げるとともに田中氏を支援することを決めている。

 現職の高島氏を相手にして、野党陣営から大きな期待をされている田中氏が、福岡市民からの注目を集められるよう熱のこもった選挙戦を繰り広げることができるのか、その覚悟にエールを送るとともに、引き続き動向を注視していく。

 以下、両者が11日に調印した政策協定および同日に開催した記者会見のやり取りについて紹介する。

【岡本 弘一】

■政策協定
田中しんすけ氏と福岡市から政治をかえる会は、福岡市政における課題を共有し、下記の重点的な施策を足掛かりに、新たな福岡市政の実現をともに目指します。
1. 大企業中心の大型開発を市民中心で見直します。
2. 市民の生活を底上げし、市民が元気な町にしていきます。
3. ジェンダー平等を推進する施策を行ないます。
4. 社会で出産・育児を支え、子どもの権利を大切にする社会をつくります。
5. 気候危機対策を積極的に進めます。
6. コロナ・感染対策を充実させます。
7. 都市外交により、東アジアに非核平和地域をつくります。
8. 日本国憲法の精神を生かし、課題ごとに、市民による施策の提言・意見交換の場、施策検証の場を設け、市政に反映させます。

2022年10月11日

前福岡市議会議員
田中 しんすけ
福岡市から政治をかえる会
星乃 治彦
片山 すみこ

福岡市長選挙に関する合意文書の4項目
1. 双方は、高島市政に代わる新しい市政を望む全ての政党団体との協力共同につとめる。
2. 双方は、政策協定を結び選挙終了後も、その実現に務める。
3. 双方は、それぞれ選挙対策本部を設け、お互いの活動を尊重する。
4. 双方は、必要に応じて情報意見交換を行ない、協力して選挙活動にのぞむ。

2022年10月11日

田中しんすけ選対本部事務局
事務局長 宮浦 寛
福岡市から政治をかえる会事務局
事務局長 内田 大亮

田中氏および出馬を取り下げた片山純子氏の話

 調印後、田中候補と出馬を取り下げた片山純子氏が思いを語った。

 田中 今回、福岡市から政治をかえる会との政策協定にのぞませていただき、サインをいたしました8点いずれも、私にとって重要な視点であり、この内容をしっかりと受けとめ尊重して、これに基づいた政策や訴えを展開して参りますので、今後、何卒、力強いご支援を賜りますよう宜しくお願い申し上げます。本日は有難うございます。

 片山 今回、内定候補を取り下げという形になりました片山純子です。私達の会は企業優先、市民第一の政治、多様な市民に寄り添う命と暮らしを大切にという事で、この間、議論を重ねてきております。そして今日の政策8つの柱の各項目に関しては、かなり細かいものを含めて作っております。田中さんが10月1日に私達の総会に出席してくださった時に、結集して戦わなければいけない。ここは駄目、ここは駄目という事は決して言わない」という言葉を私達は重く受けとめましたし、政策に関して大枠もかわらないとの力強い言葉を頂きましたから、今回、私は内定候補を辞退して一緒に戦っていかなければと思いました。

 高島さんを倒すためには、熱のこもった熱電波が起きるような戦い振りをしないと勝てない、非常に強力な市長だと思います。ただ、もう3期12年ですから、いろんなところで高島色に染まってしまった事で、多くの問題が噴出していると思います。ですから田中さんが陣頭指揮に立って私達の神輿に乗って頂き、楽しく元気に熱電波が起きるような戦いができたらいいと思います。変えたいのです。宜しくお願い致します。

 ──記者 政策協定が結べた事への率直な受けとめについて

 田中 私は立候補の表明以来、政治的な信条を超えて、あらゆる立場の方々に対して、やはり今の市政はおかしい、今こそ変えなければいけない、新しい未来、時代をつくるために、市民の力を結集しなければならないと強く申し上げて来たのです。

 先ほど片山さんからもお話がございましたが、私は無所属という立場で、あらゆる政治信条を超えて、この市政を変革して行く、その思いをもった福岡市から政治をかえる会と政策協定が結べて、会の皆様が私を自身の候補だと受け止めて頂いた事に対して非常に力強く感じています。と語った。

 片山 私達は田中さんに頑張って頂きたい。田中さんが市政を変えてくれる事によって、私達の宝である8項目の政策を実現して行く事が出来ると確信をし、私が候補内定を辞退しましたし、田中さんだったらやってくれる、田中さんを押し上げたいという気持ちで頑張っていきたいと思っていますので、マスコミの皆さんも、お力も宜しくお願い致します。

 ──記者 かえる会の政策協定を全て受け入れていますが、その理由について

 田中 政策協定の内容については一つ一つ片山さんから説明があったように、私自身も市政の目線を街の見栄えから、そこに暮らす市民の一人一人に目線を向けるべきだと思いますし、コロナ禍で市民生活や事業環境が深く傷付いているので、それら生活の底上げとコロナ対策の充実、これまで私が訴えて来た事と相違ないのです。

 ジェンダー平等や都市外交についても15年間の議員活動で私自身と仲間達とも共有してきた精神ですから、この点も相違ないと思いました。

 ──記者 かえる会の当初8項目の案と比べて日本国憲法を活かすという言葉が加えられたと思いますが、そこまでの経緯と田中さんの受けとめについて

 片山 当初から持っていた基本精神の考えでしたが、政策協定を結ぶにあたって8項目の柱の中に記載がないのはおかしいと思いましたので、この度は盛り込ませて頂きました。

 田中 私は憲法の精神を活かす後段の部分が重要で体現していると思います。市民による施策の提言、意見交換、施策の検証というのは、私自身が議会活動でもやってきた事ですし、市民全員で作り上げて行こうという市民主権の精神を改めて感じた次第です。

 ──記者 政策協定の8項目の中で最も訴えたい事について

 田中 全て訴えたい重要な事ですが、やはり市民中心、目線を市民の暮らしや働きの現状に向けて、市民一人一人の頑張りや活力を大きくして行く事、市民の人が元気な街になる事を大事にしたいのです。

 ──記者 高島市政で福岡市は元気な街と言うが田中氏の元気な街との違いは

 田中 今の市政が言う元気と私が言う元気とは根本的に全く違います。先日の議会でも高島市長に申し上げましたが、元気の根拠を今の市政が言うには、観光客がどれだけ増えた、国際会議が何件増えた、企業誘致が何件増えたと、この3つしか回答が出なかったのです。しかし、その3つの元気は、この街に住む人ではないのです。そこに福岡市民の姿は全く含まれていない事への危機感を大きくしたので、今回の立候補に至った訳です。

 ──記者 田中さんとしては、どのような元気にしたいのですか。

 田中 市民の一人一人が、地場の事業者の方々が、心も暮らしも豊かで元気に生き生きとしてもらえる街を作って行きたいと思います。

 ──記者 大型開発を市民目線で見直すとしていますが、天神ビッグバンや博多コネクテッドへの考えについて

 田中 天神ビッグバンや博多コネクテッドもビルの建て替えに過ぎないと思っています。オフィスの建て替えでは事業者と勤める方々が使う用途が中心となるので、市民が共有できる憩いの場所として使える都心造りにする事に意味があると思っています。

 ──記者 一本化で市民の間に期待する変化や選挙に関心がない方に訴えたいこと

 田中 この市長選挙は今の市政を変えたい、新しい時代の未来をつくりたいという方々を結集して、その力で戦って行く事を大事にしている。この度は一つの大きな力を頂いたと思って前進して行けると思います。

 星乃治彦(福岡市から政治を変える会) 例えば、なぜ今度の選挙は投票率が上がらないと言われているのか、見捨てられる人達が多いのではないかと思うのです。今のコロナ禍で痛めつけられ見捨てられて行った人達を勇気づけて投票率を上げて行き、それら痛めつけられ見捨てられて行った市民の願いを実現して行ってこそ、投票率も上がるし田中慎介氏を当選させる事ができる、そのための8項目だと思っております。

 ──記者 福岡市から政治をかえる会の位置づけについて選対の態勢は

 宮浦寛(田中候補選対事務局長) 従来の政党型でやって来た縦割りの仕組みではなくて、ご支援ご協力を頂ける団体組織が横並びでつながって行くというイメージです。ですから、かえる会の皆さんも、その一つの大きな母体として、これからも政党の推薦が始まりますが、そこも一つの塊として、それらをつなげて行くような選対の態勢です。

 ──記者 街頭での選挙活動は、どのようにするのですか

 宮浦 先ずはスタートを支える母体は私ども超党派の会派、福岡市民クラブのメンバーを中心に考えていました。市議会が閉会した翌日12日から本格的に街頭活動を実施して行く事になります。かえる会とも主要日程を共有しながら実施していく事になります。

 ──記者 これから具体的な政策の発表は、いつ頃になりますか

 宮浦 今、正に鋭意、練っているところですが、全体をお示しできるかどうかは別として、柱となる部分については、できるだけ早い時期にお知らせできればと考えています。

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