中国の未来:共産党大会での習近平演説は何を示したのか(中)
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国際未来科学研究所
代表 浜田 和幸北京では16日、5年に1度の共産党大会の初日を迎え、習近平・党総書記による政治報告から大会が始まりました。5年前と比べると、2時間弱という短い演説でしたが、ゆっくりとした語り口には自信のほども見えました。しかし、これまでの成果を華々しく訴えた演説内容とは対照的に、中国各地では不穏な空気も漂っているようです。
CIAによる中国への諜報・破壊活動
とはいえ、中国共産党大会に関しては内外からさまざまな妨害工作が進行中と見られています。冒頭に紹介した習近平批判の横断幕もその一例です。こうした反習近平工作に最も力を注いでいるのはアメリカのCIAと目されています。なぜなら現在のCIAにとって「最大の任務は中国共産党の脅威を除去する」ことに置かれているからです。CIA本部内に新たに発足した「China Mission Center」では対中諜報、破壊活動を最重要課題と捉えています。
今回の党大会において習近平国家主席の3期目が承認されれば、「終身国家主席」の道が開かれ、アメリカが主導してきた自由主義経済に対して最大の挑戦になるとの危機感が強まっています。バイデン政権のアメリカは、そうした可能性を封じ込めるため習近平主席の信用失墜を図る動きを加速させようとしているわけです。その最も直近の標的が党大会なのです。
CIAが第1に狙いを定めているのは中国の政権内部に存在するといわれる反習近平勢力。これまで「腐敗撲滅」の流れのなかで摘発、投獄されてきた多くの中央、地方の幹部の生き残りに対する働きかけが進められています。何しろ、過去10年の間に汚職で摘発された幹部の数は470万人を下らないとのこと。習近平主席とすれば、汚職撲滅の名義で政敵を一網打尽にしてきたとも指摘されるほどです。
摘発された面々の考えは「習近平体制の下で経済格差の問題は解決されず、ゼロコロナ政策の影響や不動産バブルの崩壊で国民生活は苦しくなる一方である。鄧小平時代に戻るべきだ」というもの。このような形で習近平主席の考えに疑問や反対のそぶりを見せた党の幹部はことごとく党籍をはく奪され、牢獄送りになったといわれています。かろうじて生き残った連中も、今では「面従腹背」を余儀なくされているようです。そこで、CIAはこうした不満分子を密かに組織化しようと動いています。
第2の狙いはアメリカ、日本、台湾などに活動拠点を持つ在外華僑の影響力を活用すること。とくに、最近ではアメリカやカナダなどで中国政府が立ち上げた在外警察による中国人への捜査や拘束、そして本国送還が実施されているため、CIAはそれらを中国による在外非合法活動と受け止めるようになっています。なぜならFBIには中国でアメリカ人を捜査、拘束し、本国へ送還するなどの権限は認められていないからです。
そこでCIAでは在外中国人を味方につけ、彼らの力を活用して中国本国内においての反共産主義宣伝工作を強化する方針を打ち出したわけです。また、CIAの元長官や現長官らがことあるごとに「中国による台湾への軍事侵攻」の可能性に言及するようになってきました。これは同じルーツを持つ中国人の分断工作に他なりません。
第3はいまだに終息の兆しが見えない「新型コロナウイルスの変異種による社会不安の増長」です。CIAでは、米軍と連携して武漢で開催された軍人オリンピックの機会を利用してコロナウイルスを拡散させたことが疑われています。共産党大会の開催期間中、CIAと米軍は新たな変異種ウイルスを北京で拡散させる動きを進めている模様です。
そのことを念頭に置いているかのように、習近平主席は演説のなかで、「外部からの脅威が日に日に増している」と危機感を露にしました。要は、米中双方が「認知戦」を展開して
おり、習近平主席とすれば「アメリカや日本の中国封じ込めに負けないためには、ロシアや北朝鮮を含め、南側の国々を味方につける」必要性に駆られている模様です。(つづく)
浜田 和幸(はまだ・かずゆき)
国際未来科学研究所主宰。国際政治経済学者。東京外国語大学中国科卒。米ジョージ・ワシントン大学政治学博士。新日本製鐵、米戦略国際問題研究所、米議会調査局などを経て、現職。2010年7月、参議院議員選挙・鳥取選挙区で初当選をはたした。11年6月、自民党を離党し無所属で総務大臣政務官に就任し、震災復興に尽力。外務大臣政務官、東日本大震災復興対策本部員も務めた。近著に『イーロン・マスク 次の標的「IoBビジネス」とは何か』、『世界のトップを操る"ディープレディ"たち!』。関連キーワード
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